もちろん日本も、輸出の悪化は韓国と同じかそれ以上に深刻だ。世界経済の不安定性は日本経済にも確実に及んでいるのである。

 例えば、財務省と内閣府が発表した2019年1~3月期の法人企業景気予測調査によると、2019年度の大企業の設備投資計画は前年度比1・1%増と、8・9%増であった1年前を大幅に下回っている。設備投資意欲の急速な減少は、雇用にも影響を与える。
 アベノミクスがさまざまな問題を抱えながらも、「おおむね合格点」であると評価されてきたのは、雇用の改善が続いているからだ。最新のBSI(景況判断指数)を見ても大企業・中堅企業、中小企業ともに「人手不足感」は継続している。ただし、従業員数判断BSIの先行きを見てみると、急速に「人手不足感」が解消されていくのがわかる。
 
 もし、この企業の見込み通りになれば、それは雇用停滞どころか、悪化にまで陥ってしまうだろう。その水準を分析すると、大企業では2015年度と同レベルにまで低下する。

 2015年といえば、14年の消費増税の影響と世界経済不況が同時に生じたときである。14年の後半から16年にかけて雇用の改善スピードは落ち、失業率も3%台中盤で低迷した。最悪、この状況が現段階でも生じる恐れがある。

 しかも、注意すべきは、あくまでも現段階の判断であることだ。今後、世界経済がより新たなリスクに直面する可能性もある。

 例えば、英国の欧州連合(EU)離脱の先行きが一段と不透明になることで市場が混乱する可能性がある。米中貿易戦争の行方も不透明だ。
2018年12月、経済財政諮問会議で消費税増税への対応を指示する安倍首相=首相官邸
2018年12月、経済財政諮問会議で消費税増税への対応を指示する安倍首相=首相官邸
 雇用の先行きが急速に悪化していく中で、安倍政権は今のところ、10月に消費税率の10%引き上げを実施する予定を変えていない。それは、経済状況が大幅に改善していた2014年当初の状況とはまるで違う環境で、増税することを意味する。消費増税を行うことは、理性的な判断だとは全く思えない。

 文政権の経済政策は「悲惨」としか言いようがない。だが、日本の経済政策にも同様の危うさがあることを、われわれは強く自覚する必要がある。