具体的には、それは「国債価格の下落」から始まる。日銀が何らかの形で市場に「手じまい」の信号を出すと、それをきっかけに、国債を買うインセンティブがなくなり、国債価格が下がる。それは金利の上昇を意味し、それが「暴落」に発展すれば、金利が急上昇し、経済も財政も破たんしてしまう。

 この「悪夢」をどう回避するか。残念ながら、「カンフル剤」の打ちすぎで、金融政策にその余地はもうない。財政出動が効くようなレベルでもなくなるし、それを賄える財源もない。それどころか、借金の利払いの急増で財政も破たんしてしまう。「底」を打つまで反転しないとは、こういうことだ。

 ちなみに、私は2009年8月、みんなの党結成時より、その公約で「大胆な金融緩和がデフレ脱却への道だ」と訴えてきた政治家だ。安倍政権が「異次元緩和」を実行する3年以上も前のことだ。その私ですら、ここまで「異次元緩和」を続けることは想定していなかった。

 これまで私は「カンフル剤は一本打つから効果があるのであって、二本も三本も打つものではない。カンフル剤で体が一時的にシャキッとしている間に『体質改善』、必要なら『手術』(いわゆる構造改革)が必要だった。アベノミクスにいう『3本目の矢(成長戦略)』のことだが、安倍首相はそれを怠った。今や、異次元緩和の効果どころか。副作用が大いに心配されている」と予算委で安倍首相に詰問してきた。

 その「副作用」が、「金融機関の収益悪化」という形で今でも徐々に出てきているが、上述した「悪夢」のような副作用がいつ出るのか。来年のオリンピック、パラリンピックまでは、日本全体に公共投資等の前向きの「気」があるので持ちこたえるだろうが、それを過ぎると危ないと私は思っている。そして、「すわ、危機だ!」という時に、その責任者たる安倍首相も日銀黒田総裁も退任していないということになりかねない。そして、その責任は、それを防げなかった後継者の、もしかしたら政権交代後の政権の責任にされるかもしれないのだ。
衆経済財政諮問会議で発言する安倍晋三首相(手前)=2019年1月30日、首相官邸(春名中撮影)
衆経済財政諮問会議で発言する安倍晋三首相(手前)=2019年1月30日、首相官邸(春名中撮影)
 こうした「本当の悪夢」を迎えるかもしれない重大な時に、他人の悪夢をあげつらっている場合ではないのだ。「安倍首相、国会では過去のことより将来、これからの日本のことを語ろうではないか!」。最後に、もう一度申し上げて、本稿を終わりにしたい。

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