しかし、2009年に現れた民主党政権は、米国政府と自民党政権の間で既定路線となっていた普天間基地問題において、沖縄県民の心情に寄り添うことを優先した結果、右往左往することとなった。また、政権獲得前から日米地位協定の改訂を掲げるなど、日米間の圧倒的権力格差へ切り込む姿勢を見せていたことも、懸念材料となったであろう。

 加えて、アジア太平洋の新たな覇権国への道程にある中国との関係において、尖閣諸島沖において発生した「中国漁船衝突事件」時の船長の逮捕と不可解な釈放や、500人近い訪中団の結成など、ホワイトハウスからは理解されがたい行動を取り、長年の付き合いがあり、こなれた自民党政権の外交に比べて、まさに不慣れで初心な政権と映っただろう。(この中国船問題に対しては、私自身大変憤りを感じ、当時与党内で行動を起こしたことにも一言触れておきたい)

 この対米関係にかかわる問題は、まさに釣り合いの取れない中で歴史的に築いてきた、歪(いびつ)な日米の「友好関係」の裏返しでもある。いわんや、その実態は古くは江戸時代ペリーの黒船来襲と日米和親条約、明治の日米修好通商条約、そして現代の日米安保条約と「地位協定」を含め、われわれ日本人がその尊厳と利益を傷つけられてきた歴史でもある。

 私は、こうした片務的で不平等な日米関係を、対米協調という美辞麗句のもと、戦後のほとんどの期間安定政権を担いながら甘受してきた自民党、逆に言えば米国の「属国」の統治者として君臨した自民党の外交姿勢は、まさに日本国民にとって悪夢そのものであると考える。

 さて、ここまで取り上げてきた民主党政権の性格と行動をまとめれば、民主党政権のナイーブな「透明化・民主的プロセス」と「不平等な対米関係の改善」が、自民党や米国にとってはアマチュアの素人政権と捉えられたことが分かる。そして、民主党の開かれた政策決定プロセスは、メディアに開かれた場でも同僚議員同士が与野党間であるかのように「白熱した」議論を行い、その末路として組織分裂を繰り返した。必然、このような「開かれた」民主党の政権運営が国民の目からも稚拙と映り、政権交代時に大きな期待をいただいた有権者の熱気を冷ましてしまったことは間違いない。
消費者政策会議であいさつする野田佳彦首相。公務員制度改革関連法案の今国会での成立を断念する意向を固めた=2012年7月20日、首相官邸(酒巻俊介撮影)
消費者政策会議であいさつする野田佳彦首相。公務員制度改革関連法案の今国会での成立を断念する意向を固めた=2012年7月20日、首相官邸(酒巻俊介撮影)
 民主党は政権奪取後、最初の総選挙により下野し、私たちが目指した「国民に開かれた」「透明な」「民主的な」政治はこうした経緯をもって挫折し、その対米外交姿勢の転換を成し遂げることもできないままに終わった。そして、現在まで続く安倍長期政権を誕生させることになった。

 それは、大きな社会的な議論を呼んだ森友・加計問題に見られるフェアでない官僚の忖度(そんたく)や、自衛隊の日報問題、賃金に関する統計不正問題など、民主的とは正反対の問題が続出する事態を許してしまっている。われわれ日本国の政治家の使命は、与野党の別なく、今も続くこの「忖度政治」と「不平等な対米関係」という悪夢から、この国を目覚めさせることであると申し上げたい。