2019年03月30日 13:18 公開

イギリスが欧州連合(EU)を離脱する予定だった3月29日、ブレグジット(イギリスのEU離脱)を支持する数千人が、英議会議事堂や首相官邸などのあるロンドン中心部ウェストミンスターに集まり、離脱の延期を抗議した。

下院は同日午後、テリーザ・メイ首相がEUとまとめた離脱協定をまたしても否決した。3度目となる協定否決に、議事堂前広場に集まった離脱派数千人の間で、歓声と罵声の両方が上がった。「恥を知れ」とののしる人もいた。首相の離脱協定について、EUとのつながりを残しすぎていると批判する人たちは、協定の否決を歓迎した。一方で、協定が否決され続ければ、離脱について国民投票をやり直すことになると懸念する人たちは、否決を非難した。

現場で取材したドミニク・カシアーニ記者によると、議会がブレグジットを「裏切った」と深く静かに怒っている人が大勢、国内各地から抗議に参加していたという。

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「離脱のための行進」は2週間前に英北東部サンダーランドで始まり、29日午後に議事堂前の広場に到着した。

これとは別に、イギリス独立党(UKIP)が主催した「ブレグジットを実現させよう」集会も、議事堂前で開かれ、複数の離脱推進派が演説した。UKIPのジェラード・バッテン党首は、「現時点では、いつ欧州連合を離脱するのか分かっていない」、「ただし、もしEUを離脱しないなら、それはイギリスにおける民主主義の終わりを意味するのは分かっている」と主張した。

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「離脱のための行進」集会では、UKIP元党首のナイジェル・ファラージ欧州議会議員や離脱派のマーク・フランソワ保守党議員などが演説した。ファラージ氏は、もし2度目の国民投票が実施されることになっても、2016年の前回以上の票差で離脱が勝つはずだと述べた。

離脱派の集会に対抗する形で、市民団体「人種差別と闘う」もウェストミンスターで集会を開き、「極右がブレグジット危機に便乗しようとしている」と非難した。

一部の人は夜まで抗議を続け、警官が隊列を組んで警備にあたった。

ロンドン警視庁によると、暴行や警官への暴行などの疑いで4人が逮捕された。

抗議参加者の中には、パリの反政府暴動で使用される「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」に似た蛍光黄色の高視認性ベストを身に着けた人たちもいた。

抗議に参加した元タクシー運転手のコリン・グロステートさんは、黄色いベストは「フランスからのシンボル」だと説明し、「大衆運動を支持する。政治家はこちらの言うことを聞いていない。国民が投票で選んだことを、阻止しようとする人間が多すぎる」と主張した。

英政府は2016年の国民投票でEU離脱が決まったのを受け、2年前にEUに対して今年3月29日までに離脱すると通告した。しかし、首相がEUとまとめた離脱協定を下院が繰り返し否決し、離脱延期が決まった。

下院は29日、離脱協定を344対286で否決した。この3度目の協定否決によって英政府は、協定に沿って5月22日に離脱するというEUとの合意を履行できないことになった。このため5月22日の「合意あり」離脱はなくなり、4月12日が離脱期限になった。この日に合意なしで離脱するのを避けるためには、メイ首相はさらに延長をEUに要請しなくてはならない。

一方で欧州委員会は声明で、イギリスは4月12日までに「前進方法を示し」、「欧州委員会の検討」にかけなくてはならないと表明した。

(英語記事 Brexit: Protests held at Parliament over delay