さて、この4月1日、今上陛下の「高齢譲位」による皇位継承に先立って、政府から公表された新しい元号は「令和」であり、その出典は『万葉集』である。これはまさに画期的な意義を有する。

 まず「令和」という二文字は、共に漢音で「れいわ」(Reiwa)と読む(令は呉音なら「りょう」)。その和訓は人名で「よしかず」とも「のりやす」とも証する例がある。

 確かに「令」という字は、「令息」とか「令嬢」のように「よい」とか「美しい」という意味もあり、また「法令」「訓令」のように「のり」(規範)の意味もある。

 一方「和」はよく知られている通り、「和合」とか「平和」のように「やわらぐ」「なごむ」「仲良くする」という意味があり、古来「大和」(大いに和する)と称する日本の特性を最もよく表す語である。

 それゆえ、日本の「大化」から「平成」に至る247の公年号では、「和」が19回も使われ(「和銅」~「昭和」)、「令和」で20回になる。それに対して「令」という字は、幕末の「文久」「元治」改元の際「令徳」という二文字で候補に上ったが採用されず、今回が初めてとなった。

 だが、このような組み合わせは珍しくない。現に「昭和」「平成」の「和」や「平」は多く使われてきたが、「昭」「成」はこの時が初めてである。古来の用例を尊重しながら、新例も採り入れたことになる。
足利学校で保管されている、江戸時代後期に木版印刷で作られた万葉集
足利学校で保管されている、江戸時代後期に木版印刷で作られた万葉集
 この「令和」について、安倍晋三首相は正午の談話で「人々が美しく、心を寄せ合う文化が生まれ育つ」と説明した。確かに、現在も今後も「国民の理想としてふさわしい」在り方は、美しく穏やかな心を持ち、互いに助け合っていくことであろう。