田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 新しい元号が「令和(れいわ)」と発表された4月1日、日経平均株価は「ご祝儀相場」も手伝って、303円22銭高で終えた。

 新元号の「意外性」は、おおむね好意的に国民に迎えられた。「ら」行で始まる文字、そして『万葉集』という国文学からの初引用など、新時代を迎える日本社会を象徴するものであろう。その新元号発表と同日に、経済的に重要な出来事があった。

 一つは日銀の企業短期経済観測調査(短観)の発表である。この連載でも指摘してきたように、3月の短観では企業の景況感が急速に悪化してきていることを端的に示していた。

 景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業で6年3カ月ぶりの大幅な下げ幅となった。米中貿易戦争の影響で、企業が海外取引の縮小に伴って、設備投資を低下させた結果だろう。また、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)とトランプ政権の政策協調が上手くいっていないことも原因ではないだろうか。

 いずれにせよ、日本経済の先行きに黄色ランプが点灯している。これが「危険信号」に転換してしまうのではないか、と筆者は懸念する。

 その大きな契機は、もちろん、10月に予定されている消費税率の10%引き上げである。日本経済が脆弱(ぜいじゃく)性を増す中、どうして大規模な増税が行われるのか、合理的な説明が全くつかない。安倍晋三首相の最終決断がどのようになるか、極めて重大な局面を迎えることになる。

 「経済的に重要な出来事」のもう一つが、改正出入国管理法の施行である。制度的な詳細は省くが、これは「単純労働」に従事する外国人労働者を年々増やしていく政策である。5年間で建設や農業、介護など14業種に、最大34万5150人の受け入れをするという。
前週末比303円以上の上げ幅となった日経平均株価の終値を示す株価ボード=2019年4月1日、東京都中央区
前週末比303円以上の上げ幅となった日経平均株価の終値を示す株価ボード=2019年4月1日、東京都中央区
 現段階で、日本の外国人労働者数は約150万人にのぼる。特に、国内の経済状況が好転した2014年以降、その数を急速に拡大させ、毎年15~20%近くの伸び率を記録している。

 外国人労働者の担い手は、技能実習生と留学生の資格外活動、または永住者・配偶者などの身分に基づく在留資格者など、あらゆる種別でその人数を拡大している。その中で、改正入管法が施行され、「単純労働」の受け入れに門戸を開いたわけである。筆者は単純労働の受け入れには反対であり、その主張は今も変わらない。