それほど、消費増税と外国人労働者の増加の組み合わせは、日本の雇用を大きく悪化させる可能性がある。安倍政権だけではなく、それを継承する政権が外国人労働者の受け入れを拡大させたまま、消費増税をはじめとする緊縮政策を行えば、日本社会の停滞や分断にさえ発展するだろう。

 その可能性が否定できない現状では、筆者は外国人労働者の大幅な拡大に寄与する政策に反対し続ける。外国人労働者たちも、日本に来たところで、不景気による失職や悪化する雇用環境に直面すれば不幸なことだろう。まずは消費増税の凍結・撤回が何よりも優先される。

 また、国民健康保険の制度設計にも問題がある。いわゆる外国人の国民健康保険の「ただ乗り」問題である。

 現状の制度では、日本に3カ月滞在しただけで保険証をもらえる。さらに、被保険者の海外在住の扶養者にも健康保険が適用されてしまう。

 問題の核心は、2012年まで在留1年未満では国民健康保険に加入できなかったのを、厚生労働省の官僚の判断だけで3カ月で加入を認めることに変更したことにある。類似制度を有する諸外国に比べても、「在留3カ月」は極めて短期間と言わざるをえない。保険証発行については、以前と同じように在留1年以上の条件に戻すべきだ。

 また日本で働くと偽り、医療を受けることがそもそもの目的でやって来る不正受給者の存在も話題になっている。この不正受給問題については、月刊誌『Hanada』で経済評論家の上念司氏との対談で、安倍首相が次のように発言していた。

安倍 もちろん健康保険の不正受給についても、これまでの事例を見ながら厳正に対処していきたいと思います。


 おそらく、不正受給が起こる原因の一つは、あまりに短期の在留期間で国民健康保険に加入できることにある。安倍首相はまずはこの点を厚労省に変更させることが、上念氏への「約束」を履行するために重要だと思う。
2018年11月、出入国管理法改正案が衆院で可決し、腕時計を見る安倍晋三首相(中央)
2018年11月、出入国管理法改正案が衆院で可決し、腕時計を見る安倍晋三首相(中央)
 日本に来る外国人労働者に対し、母国にいる段階で民間の健康保険に加入することを、日本での就労の条件にすることも一案である。これはいくつかの国では実施されており、何ら珍しい政策ではない。

 消費増税の裏には財務官僚、そして、国民健康保険の「ただ乗り」懸念の裏にも厚労官僚の存在がある。日本の官僚問題は新しい元号の世になっても変わらない「日本の病理」だ。