4月に行なわれる統一地方選を前に、永田町が慌ただしい。国会議員の選挙マシンとなるのは、地元の有権者に密着する県議や市議たちだからだ。

 かつて内田茂氏(80)が、「都議会のドン」と呼ばれたことは記憶に新しいだろう。こうした「ドン」は東京だけでなく、各地に存在する。地方政界のドンになると、議長や副議長ポストを配分することで議員を束ね、県や市の事業や役人人事に影響力を持って業界を仕切り、地元で「票とカネ(選挙資金)」を握ることで国会議員も逆らえないほどの力を持つ者が現われる。

 大臣経験者はおろか、安倍晋三首相(64)や菅義偉・官房長官(70)ですら、そうした地元有力者の顔色を窺わなければならない。

 当選9回を数える愛知県議会の実力者、水野富夫・県議(69)の事務所は早朝から門前市をなす。

「水野さんの個人事務所は毎朝6時10分に開かれるが、その時間には列ができている。県議や県庁の課長クラスの職員から、中央官庁の役人や自衛隊幹部まで午前中だけで毎日30人くらいやってくる。

『オレは隠し事はしない』が水野さんの口癖で、会って話をするのは全員一緒。人はどんどん入れ替わっていくが、座に加われば自然に県の情報が入ってくる。選挙になれば中央の大物政治家の為書き(*注)をもらってくれたり、困った時に泣きつくとなんとかしてくれる」(地元議員)

【*注/候補者が支援者にもらう選挙応援ポスターのこと。選挙事務所に貼り出される】

 隣の岐阜県にも12期、45年間県議を務める自民党の重鎮、猫田孝氏(79)がいる。小泉郵政解散の時には党本部の方針に反対して造反組の野田聖子氏を応援し、野田氏は頭が上がらないといわれる。

「県議は200人、国会議員は1200人の党員集めを達成しなければ選挙で公認を出さない」というノルマを課して岐阜を「自民党王国」にした。

 そうした大物地方議員にとって、統一地方選は書き入れ時だ。彼らがドンへとのぼる階段は、自分の手で知事をつくり出すこと。
東京都議会の本会議=2019年3月28日午後
東京都議会の本会議=2019年3月28日午後
 愛知の水野県議は大村秀章・知事をバックアップし、神奈川では、小泉純一郎・進次郎父子を支えてきた横須賀選出の竹内英明・県議(68)が黒岩祐治・知事を擁立することで「県議会のドン」にのしあがった。

「知事を後ろ盾にする」のではなく、「知事の後ろ盾になる」のが、地方政界のドンたらしめる“条件”なのだ。週刊ポストでは、内田氏のほか「地方政界のドン」と言える50人の全実名を紹介している。

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