そういう極めて限られた裁量権しかないのだから、その仕事はさほど意味がないし、面白くもない。だから過去に地方自治体で議会と行政府が対立したケースは、首長の失言、不倫、パワハラ、セクハラ、不適切な公用車の利用や飲食費などの支出といった低俗な問題ばかりで、条例の立案や制定でもめたという話は寡聞にして知らない。

 結局、地方議会で議論されている問題の多くは、土木、建設、電気工事などをはじめとする公共事業に関するもので、平たく言えば、そこに予算をいくらつけるか、ということである。このため、多くの議員がその利権にまみれることになり、行政府の職員は、そういう議員たちの“急所”を握って利権を配分している。自分たちの仕事や首長が提案する予算案、条例案にいちゃもんをつけさせないためである。

 その結果、議会は行政府の意向通りに運営され、どこの地方自治体でも議員提案の条例案は極めて少なく、その一方で首長提案の議案はほとんどすべて原案通り可決されている。

 つまり、地方自治体は事実上、首長と役人が運営しているわけで、地方議会は政策提案機能はもとより、行政府に対するチェック機能さえ持ち合わせていないのだ。そんな地方議会は文字通り“無用の長物”であり、税金の無駄以外の何物でもない。百歩譲って都道府県議会は残すとしても、市区町村議会は原則廃止すべきである。

 地方議会に代わる仕組みを作るとすれば、住民代表によるオンブズマン(行政監察官)機関だ。地方自治体は首長と役人がいれば運営できるわけだから、行政府がきちんと仕事をしているかどうか、“悪さ”をしていないかどうかを第三者が監視する機能さえあればよいのである。そのメンバーは、裁判員制度のように住民がランダム抽選の輪番制・日当制で務めればよい。希望者を募ると、手を挙げるのは利権絡みの人間ばかりになってしまうからだ。

 総務省の研究会も昨年、よく似た新たな地方議会制度の仕組みを提言している。少数の専業議員と裁判員のように無作為で選ばれた住民で構成する「集中専門型議会」というもので、そのほかに兼業・兼職議員中心の「多数参画型議会」と現行制度の三つから選択可能にする。現行制度を維持するか、新制度のいずれを選ぶかは自治体の判断に委ね、条例で定めるようにするという内容だ。しかし、この提言が実現したとしても、地方議員が自分たちの“失業”につながる「集中専門型議会」の選択に賛成するはずがないだろう。

 本来、私が提唱している道州制であれば、それぞれの道州に立法権があるから、地方に根ざした問題への対応策は独自の法律を作って自分たちで決めることができる。各地方が中央集権の軛から脱し、世界中から人、企業、カネ、情報を呼び込んで繁栄するための仕掛けを作ることも可能になる。4月の統一地方選で無投票や定員割れが起きた地方自治体は、改めて議会の存在意義を問うべきである。

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