今回のダブル選でも、2勝すればさらに4年の任期が与えられる。この間に潮目が変わり、公明党の支持を得る機会を再度うかがう作戦なのであろう。言ってみれば、大阪維新の会にとって、今回の「ダブル・クロス選」は「都」構想の延命選挙と位置づけられる。

 大阪維新の会は、なぜここまで「都」構想にこだわり続けるのであろうか。それは「都」構想が、「敵を作り出して攻撃する」という維新の政治手法と親和的なことに加え、政治的支持を集めるためのスローガンとして、使い勝手が良いからである。

 「都」構想が実現すると自分の生活がどう変わるかについて、具体的に想像できる人は多くないはずだ。具体的に実感しにくいだけに、「二重行政の解消」「府市合わせ(不幸せ)の解消」「既得権の打破」といったプラス評価の言葉とともに訴えかけることで、肯定的なイメージを抱かせることが可能となる。

 だが、そもそも「都」構想は、2015年5月に行われた住民投票において、否決という民意が明確に示されたはずである。何度も何度も復活、延命させるだけの価値があるものなのであろうか。「都」構想の中身を評した上で、こうしたテーマが繰り返し争点化されることの問題点について論じてみたい。

 「都」構想については、数多くの課題や問題点を指摘できるが、筆者がポイントと考える点が二つある。第一は、「都」構想が実現した場合には、大阪市が廃止されるということである。

 どういうわけか、大阪維新の会はこの事実の否定に躍起である。「大阪市はなくならない。なくなるのは市長と市議会、市役所だけ」ということが、あちこちで主張されている。

 だが、「都」構想とは、大阪市を廃止して、大阪市が持っていた権限や財源を、大阪府と新たに設置される四つの特別区に分配するものである。常識的かつ法律上の用語法に従えば、「大阪市」とは普通地方公共団体たる大阪市を意味するのであり、「都」構想の実現によって大阪市がなくなるのは確かである。

2013年に「大阪維新の会」が新たに作成した大阪都構想に関するポスター
2013年に「大阪維新の会」が
新たに作成した大阪都構想に関するポスター
 これまで、このような形で指定都市が廃止されることはなかったが、市町村合併によってなくなった自治体は少なくない。「都」構想が実現しても大阪市がなくならないとすれば、2005年に堺市と合併した美原町もなくなっていないとでも言うのであろうか。

 第二のポイントは、新たに設置される4区が「特別区」だということである。府に委ねられる財源や権限はあるものの、基本的に特別区は市に準ずる自治体として、区長が選挙で選ばれ、区議会が設置される。

 仮に「都」構想が実現したとすれば、これまでは一つの大阪市であったものが、四つの区に分割されるだけでなく、24区の時代と比べて、各区の自律性は圧倒的に高くなる。その結果、隣接する区同士で厄介な調整の問題も生じるであろうし、府と区で意見が分かれた結果、対立に至ることもあるであろう。