2019年04月09日 11:58 公開

ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)をめぐる与党・保守党と最大野党・労働党の協議は8日夜、4日目に突入した。首相官邸は、協議は9日にも引き続き行う見通しだとしている。

8日には「技術的な」話し合いが行われたが、関係者によると、テリーザ・メイ首相は労働党が求めている欧州連合(EU)との関税同盟締結には応じていない。

一方、EUとの将来の関係を示した法的拘束力のない「政治宣言」については、変更を加える方向で協議が進んでいるという。

労働党のジェレミー・コービン党首は、政府はまだ「最後の一線」を越えていないと話した。

これに対し首相官邸の報道官は、政府は「突破口を見出すために尽力している」が、それには与野党が「足並みをそろえる必要がある」と話した。

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首相官邸で行われた協議では、政府が労働党に対し、この与野党協議での合意内容には「ロック」がかかり、覆されることはないと保証したという。労働党は、次期保守党党首が合意を覆す可能性を懸念しており、政府は「ロック」を約束することで懸念を解消したい意向とみられる。

しかし、BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長によると、現政権との法的合意は新しい立法措置で帳消しになるのではと、労働党側は「深く懸念」している。

一方で保守党の1922年委員会(保守党党首の不信任動議を扱う委員会)所属の議員団はメイ首相に対して、EUとの関税同盟承認は「受け入れられない」と警告している。

関係者によると、イギリスが他国と独自に通商協定を締結する余地のある関税協定ならば、許容可能だとこの議員団は話している。

政府と労働党の協議は3日に始まった。メイ首相は7日に発表したビデオメッセージで、超党的な協定でなければ議会を通過できないと説明した。

ただし、与野党が譲歩案で合意できなかった場合は、メイ首相はさまざまなブレグジット案を議会に提出し、その採決結果を尊重するとしている。

コービン党首は、「協議するからには何か変化が必要だが、今のところ(政府)は譲れない一線を変更しようとしていない」と話した。

また、労働党は政治宣言について「多くの懸念」を持っていると述べ、この点についても協議したいと語った。

一方で政府は、5月末の欧州議会選挙までにEUを離脱できなかった場合、5月23日にこの選挙に参加する方針を固めた。

ただし、日程の決定には議会での採決が必要となる。

内閣府は、欧州議会選の日程決定に向けて対応していると認めつつ、日程が決まったからといって欧州議会選挙への参加が不可避になるわけではないと説明している。


今週の主な動き

  • 4月10日: EUの臨時首脳会談が開かれ、イギリス政府が要請する予定の6月30日までの延長を協議する
  • 4月12日: 再度の延長が認められなかった場合、イギリスはこの日にEUを離脱する

イギリスは4月12日午後11時(日本時間13日午前7時)にEUを離脱する予定だが、イギリス下院はメイ首相がEUとまとめた離脱協定を否決しており、離脱条件の見通しは立っていない。

4月10日にはEUの臨時首脳会議が予定されており、首相はそれまでに新たな離脱計画をまとめ、議会でのこう着状態を脱したい考えだ。

これに先駆け、メイ首相は9日に、ドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領と、それぞれベルリンとパリで会談する予定。

EU離脱延期求める議員立法が可決

イギリス議会はこの日、メイ首相にEUからの離脱プロセスを延期するようEUに要請することを義務付ける法案を可決し、施行した。

労働党のイヴェット・クーパー議員が提出したこの法案は合意なしブレグジットを回避するためのもので、3日に313対312の1票差で下院を通過。上院も承認し、8日にエリザベス女王の裁可が下りた。

ただし、EU基本条約(リスボン条約)50条に定められた離脱交渉期間の延長には、他のEU加盟27カ国全ての合意が必要となる。

保守党のアンドレア・レッドソム下院院内総務はこれを受け、政府は9日に6月30日までの延期をEUに求める動議を下院に提出すると説明した。

EUは「アイルランドを全面的に支援する」

EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は8日、アイルランドのリオ・バラッカー首相と会談を行ない、記者会見でイギリスの与野党協議が「前向きな結果を生み出す」ことを期待していると話した。

一方、合意なしブレグジットとなった場合は「EUはアイルランドと北アイルランドの国境をめぐる問題や市民の権利、清算金などで合意が得られるまで、イギリスとは何も協議しない」と釘を刺した。

その上で、ブレグジットがどのような結果になっても「EUはアイルランドを全面的に支援する」と述べた。

バラッカー首相は、イギリスの与野党協議が「順調に進む」よう、離脱の延期には前向きだと話した。

(英語記事 Ministers set for further Brexit talks