重村智計(東京通信大教授)

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が41%に下落した。韓国の世論調査は政権に忖度(そんたく)するため、実質的には30%台といわれる。

 国民の支持を失った文大統領が、11日に米ワシントンでトランプ大統領との首脳会談に臨む。10日、11日の訪米とはいえ、実質的にわずか1日の訪問で、米国の扱いは冷たい。

 韓国で40%台に落ちた支持率を回復した大統領は一人もいない。これ以上の支持率下落を食い止めるため、文大統領が狙ったのが「安倍より先の訪米」だった。

 背景には「米韓関係の悪化」「南北関係の悪化」「日韓関係の悪化」「中韓関係の悪化」「第3回米朝首脳会談への対応」「日朝首脳会談の動き」「良好な日米関係に対する牽制(けんせい)」「欧州と東南アジア外交の失敗」と数え上げればきりがない。日米中朝だけでなく、欧州や東南アジア諸国にも自らの失態で見放され、文大統領はまさに「六面楚歌」である。

 米韓関係は、懸案だった在韓米軍の駐留経費増額問題で一応は合意したが、トランプ大統領はなお不満を募らせている。米国は、物別れに終わった第2回米朝首脳会談における文大統領の動きに不信感を強めている。首脳会談直前に、ハノイでの南北首脳会談を画策したが拒否され、米韓朝の3国首脳会談も打診したが、全く相手にされなかった。

 さらに韓国は、洋上で積み荷を移し替え、石油精製品などを密輸入する北朝鮮の「瀬取り」を黙認した「証拠」を米国から突きつけられ、厳しい取り締まりを求められた。こうした問題に対する弁明の機会をつくることが、米韓首脳会談の理由だ。
2018年5月、ホワイトハウスでトランプ米大統領(右)と話す韓国の文在寅大統領(ゲッティ=共同)
2018年5月、ホワイトハウスでトランプ米大統領(右)と話す韓国の文在寅大統領(ゲッティ=共同)
 米国は、北朝鮮融和策を進める文大統領を「邪魔者」と考えている。それでも、同盟国として北朝鮮への圧力強化に必要なので我慢しているだけだ。米国のマスコミが文大統領を「北朝鮮の手先」と酷評した背景には、ホワイトハウスの意向がある。