かつて『噂の真相』という雑誌があった。タレ込んでくるスキャンダル情報はほとんど載せることで有名だった。そうした雑誌に情報は集まる。文春も、スキャンダルをやり続けることで、情報が集まってきたのであろう。

 だが、その文春砲にも陰りが出てきた。新谷編集長が交代したこともある。雑誌は編集長のものだから、同じ雑誌でも編集長が替われば中身も変わる。

 それに、あれほどスクープを放ったにもかかわらず、部数が減り続けたことである。

 2016年7月から12月には約43万部(ABC調査より)あった。だが、2018年1月から6月には約34万部(同)に減ってしまったのだ。

 現代と『週刊ポスト』は、元々木曜日校了で月曜日発売のため、生ネタは入れにくい。その上、人員や経費を削減されたから、現代は早々に事件やスクープを追うことを諦めたようだ。

 私が現代の編集長だった時、40歳前後だった読者平均が今は60歳前後だろう。その世代にターゲットを絞り、「死ぬまでSEX」「60歳を過ぎたら受けてはいけない手術」「飲んではいけない薬」と、性と健康に絞った企画をやり始めた。

 それが一段落すると、次に、団塊世代を親に持つ団塊ジュニアをターゲットにして、40年ぶりに大改正された相続法を詳しく解説する特集を始めた。

 それが当たったのだ。今年の新年合併号は前年比130%増という快挙を成し遂げ、相続をテーマにした増刊号も売れているという。

 出版界では、柳の下にドジョウが3匹はいるといわれるから、物まねは恥ずかしいことではない。文春、新潮、女性誌までが相続特集をやり始めたのだ。これがローソクの火が消える前の一瞬の輝きでなければいいが。

 先日亡くなった作家の橋本治氏が『思いつきで世界は進む』(ちくま新書)で、おやじ系週刊誌は金の話とセックス記事ばかりで、社会で起きていることを伝える記事がほとんどなく、「閉じつつある自分のことしか関心が持てない」と嘆いている。

 たしかに今の週刊誌を読んでいると、トランプのアメリカも、中東情勢も、中国で今何が起きているのかも分からない。

 芸能人の不倫、女子アナの近況、眞子さまと小室圭さんの結婚問題、相続など、閉じた狭い世界でのことしかない。

 なぜこんなに視野狭窄(きょうさく)になってしまったのか。私がいた頃の現代は、政治から事件、国際紛争、風俗からグラビアまで、一冊ですべてが分かる「幕の内弁当」週刊誌といわれたものだった。

 現代も、何度かリニューアルしたり、ビジュアル化を試みたり、若い世代を取り込もうとしたが、みな失敗した。
『週刊現代』の医療大特集(佐藤徳昭撮影)
『週刊現代』の医療大特集(佐藤徳昭撮影)
 結局、団塊世代とともに心中するしかないと思い定めたのであろう。

 残念だが、団塊世代がいなくなれば、ほとんどの週刊誌は消えていくことになるのだろう。

 文春だけが生き残ったとしても、競合誌のない雑誌は苦戦を強いられる。休刊した雑誌の読者が、他の雑誌へ乗り換えることはない。雑誌とともに読者は消えてしまうのが出版界の常識だからだ。

 おやじ系週刊誌に生き残る術はもはやないと思う。団塊世代が全員後期高齢者になる2025年までだろう。だが、消えていく前に、今一度原点に立ち返り、不倫や密愛ではない、週刊誌にしかできないスクープを見せてほしいものである。