そして2006年には就労支援機関として地域若者サポートステーション(以下、サポステ)が設置されはじめ、現在では全国170カ所以上ある。09年には厚労省がひきこもり対策推進事業としてひきこもり地域支援センターを都道府県、政令指定都市に設置を開始し、翌年には新ガイドラインも発表された。

 つまり、ひきこもりになった40代がまだまだ「若者」として支援対象となりうる年齢にありながら、支援とつながらなかったか、あるいはつながっても相応の効果が得られないまま今日に至るということになる。

 実際、相談経験についても質問されており、47人の中で「相談する意思はもっている」と答えた36人について見ても、その半数以上は「関係機関に相談したことはない」と答えている。40代前半の11人については相談経験有りが7人と60%を超えるのだが、その中で利用されたのは病院・診療所が主であり、その他の支援機関を利用したのは1人のみである。

 もとより「ひきこもり」該当者50人足らずの中で、さらに年齢層で分ければごくごく少ないケースとなり、それに依拠して全体の傾向を推測するには無理もある。その限界は踏まえなければならない。

 とはいえ、大方は30代までに現在の状態が始まったという40代前半の層で、サポステも含め、ひきこもり支援を掲げて設置されてきた機関や相談窓口が、あまり機能してこなかった可能性を示唆する結果であろう(ただし、利用という点では親など同居者の相談経験にも注目すべきではある)。

 私はある支援機関で2001年からいわば定点観測をしてきたことになるが、当初は10年以上ひきこもってようやく支援機関につながったという人はまったく珍しくなかった。しかし、近年では、ひきこもりが始まった後、親が支援機関にアプローチするまでの時間は短くなり、本人が20代までである場合などは、ひきこもっていた期間もせいぜい数年というパターンが多くなっているようだ。そして本人が出てくるのも、その後の展開(さまざまな活動への取り組み)も早くなっている。
橋本市「若者サポートステーションきのかわ」開設に向けた打ち合わせをするサポステきのかわのスタッフ=2013年9月、橋本市(成瀬 欣央撮影)
橋本市「若者サポートステーションきのかわ」開設に向けた打ち合わせをするサポステきのかわのスタッフ=2013年9月、橋本市(成瀬欣央撮影)
 特に親自身が30~40代ぐらいであれば、ネットなども使った情報収集能力が高くなっていることも伺え、個人的には、ひきこもり支援についての情報がそれなりに浸透してきたことの効果は生じているとも感じてきた。しかし、それは甘すぎる認識であったと反省せざるを得ない。