外圧のようでいて、実は国内からの発信であることがキーポイントだ。まさに自作自演である。

 IMFの財政緊縮主義はほとんど普遍であり、昨年話題になったIMFのリポートでは、バランスシート分析を利用して、米国や英国などの「隠れた負債」をあぶり出した。一方で、日本の負債規模が大きくても資産規模も大きく、純債務はほとんど無視できるほどの割合しか経済全体に占めていないことを公表してしまった。

 これは財務省にとっても予想外のことだったろう。このリポート以後、日本では財政危機を理由にした消費増税の議論は下火になった。

 代わって出てきたのが、社会保障財源としての消費増税である。これほど知的劣化の議論はない。

 消費増税は低所得者に負担が重い。だが、簡単に言えば、社会保障は所得や資産の多い人から貧しい人にお金を「再分配」する仕組みだ。消費増税では、全く逆の動きになってしまう。

 もちろん、税収の一部は幼児教育の実現や年金の維持などに使われるが、子供がいない中高年の低所得者からすれば、それは直接的に無縁の「再分配」になる。言ってみれば、消費増税は貧しい人からお金を取り上げ、その一部分だけ還元するというやり口である。当然経済格差は拡大していく。

 悪質な税制だが、財務官僚たちにこれを押しとどめる動機はない。財務官僚の言いなりに近い政治家たちも同様だ。
2019年4月、日本記者クラブで記者会見するOECDのグリア事務総長
2019年4月、日本記者クラブで記者会見するOECDのグリア事務総長
 G20での麻生氏の発言を「国際公約」として利用する財務省と日本のメディアの「タッグ」は、最近さらに加速している。4月に来日した経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長を日本記者クラブに招いたのは、その最たるものだ。グリア氏は15日の会見で、消費増税10%どころか、なんと26%までの引き上げが必要だと発言した。