菊地高弘(ライター、編集者)

 春から広島東洋カープの周辺が騒がしい。

 3月29日のセ・リーグ開幕から5カード連続で負け越しを喫し、4月15日現在、借金7の最下位に沈んでいるからだが、5カード連続負け越しは球団史上初の事態だという。また、開幕から4カード以上連続して負け越したチームが優勝した前例はなく、早くも「優勝確率0%」というスポーツ紙の見出しも躍った。

 4月10日のヤクルト戦では、延長十回に大量12点を失う、象徴的な惨敗を喫した。昨季までセ・リーグ3連覇を成し遂げたカープの突然の凋落(ちょうらく)。「カープに何が起きたのか?」という論調の報道も目立っている。

 とはいえ、まだ開幕してわずか2週間である。どんなに強いチームだろうと、年間通して独走し続けるわけではない。晴れの日もあれば、雨の日も風の日もある。それがペナントレースというものだろう。カープにとっては、最初にいきなり集中豪雨がやってきただけ、というポジティブな考え方もできる。

 なにしろ、現在の主力の多くは20代から30歳までの若い年齢層である。若くして修羅場をくぐってきたキャリアが生きるのは、むしろこれからだ。この時点で優勝を絶望視するのは、いくらなんでも気が早すぎる。

 一方で、気になることもある。主軸の丸佳浩がフリーエージェント(FA)権を行使して巨人に移籍して、精神的支柱だったベテランの新井貴浩が引退したことは間違いなく痛い。ただ、丸の穴は走攻守にポテンシャルの高い野間峻祥(たかよし)が奮闘して、今のところ最大限のカバーをしている。
2019年3月31日、広島戦の五回、九里から適時二塁打を放った巨人・丸。左は広島・田中広=マツダスタジアム(福島範和撮影)
2019年3月31日、広島戦の五回、九里から適時二塁打を放った巨人・丸。左は広島・田中広=マツダスタジアム(福島範和撮影)
 攻撃以上に綻(ほころ)びが目立つのは、守備面である。2016年の優勝時にはリーグ143試合でチーム合計67失策(守備率・988)と安定していたものが、今季は開幕15試合で早くも19失策(守備率・968)。守備の乱れがチーム成績の悪化に直結している。

 カープは天然芝のマツダスタジアムを本拠地としている。天然芝のグラウンドは、打球が不規則にバウンドしやすく、多少のミスはつきものではある。