2019年04月17日 12:10 公開

フランス・パリのノートルダム大聖堂で15日夕に発生した大規模な火災で、建物の主要部分が焼失を免れたのは最初の15~30分の重要時間帯の消火活動がうまくいったおかげだったと、ローラン・ヌネズ内務次官が16日、説明した。

ヌネズ次官は、2棟の塔や大聖堂の主要な構造が焼失しなかったのは、「命をかけた」消防隊の「勇気と決意」によるものだと称賛した。

この火災では、木造の尖塔と屋根が崩落した。出火の原因は明らかになっていない。

エマニュエル・マクロン仏大統領は、5年以内の再建を約束している。

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ヌネズ次官は、「最初の15~30分が勝負だと分かっていた」と話し、警察や消防当局が向こう48時間で大聖堂の安全性などを調査することを明らかにした。

パリ検察庁のレミ・アイツ検察官は、出火原因は「事故だとみている」ものの、50人を投入して調査に当たっていると話した。

当局からは、大聖堂で進められていた大規模な改修工事が原因だとの見方も出ている。


すでに再建への動きが始まっており、マクロン大統領は「今まで以上に美しく」立て直すことを約束した。

「この大惨事を、みなが一致する機会に変えたい」とマクロン氏は述べている。

また、テレビでの演説では消防隊の尽力を称賛した。

「消防隊は最も危険な状況の中で火を消してくれた。フランスのさまざまな地域から集まった、20~25人の消防隊員だ」

一方、AFP通信によると、ストラスブール大聖堂の再建を手掛けた基金を統括するエリック・フィッシャー氏は、再建には「数十年」かかるだろうと指摘した。


世界中から再建に向けた支援が寄せられており、欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)は欧州連合(EU)加盟各国に援助を呼びかけた。

また、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領やイギリス政府、スペインのホセ・ギラオ文化相などからも支援の声が届いている。

フランス国内では大企業からの寄付が相次いでおり、AFP通信によると総額は8億ユーロ(約1000億円)に上る。

これまでに高級ブランドのグッチやイヴ・サンローランなどを保有するケリング・グループのフランソワ=アンリ・ピノー会長や、ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシーと同社を保有するアルノー一家、化粧品大手ロレアルと創業家のベタンクール一家、石油メジャーのトタルなどが名乗りを挙げている。

航空大手エールランスは声明で、再建に関わる人には無料でフライトを提供すると発表した。


これまでに分かっていることは?

火災は15日午後6時43分(日本時間16日午前1時43分)に発見され、消防に通報が入った。瞬く間に大聖堂の屋根に燃え広がり、ステンドグラスや木造の内装が焼失した。

屋根や尖塔が崩落したことから、大聖堂の2棟の塔も火災で破壊されるのではとの不安が広がった。

火は塔にも燃え移っていたが、ローラン・ヌネズ内務次官は、塔全体に燃え広がる前に火を消し止めたと発表した。

パリの消防当局は、16日午前10時までに鎮火したと発表している。


すでに調査チームによる被害状況の確認が始まっている。

内部の写真からは、3カ所に設置されている有名なバラ窓のうち少なくとも1カ所は無事が確認されているが、その他のステンドグラスが無事かは懸念が残っている。

フランスのクリストフ・カスタネール内相は、主要な構造は守られたものの、大聖堂はなお不安定な状態だと注意を呼びかけている。

「私たちは(ノートルダム大聖堂の)枕元に立っている」


ヌネズ内務次官によると、「全体としては」大聖堂の構造は良い状態だが、ヴォールトや焼け残った屋根などに「ぜい弱性」がみられるという。

専門家による調査はまだ始まっていない。一方、消防当局はドローン(小型無人機)を使って被害の状況を調査している。

熱や消火のための放水による被害も精査される必要がある。

フランスの慈善団体「フォンダシオン・ドゥパトリモアン」のベルトラン・ド・フェドゥー氏はAFP通信の取材で、18世紀に設置されたパイプオルガンは焼失を免れたが、水でダメージを受けているかは不明だと話した。


<解説>大聖堂のために祈る ――パトリック・ジャクソン、BBCニュース、パリ

サン・ミッシェル広場に集まった人々が、ノートルダム大聖堂の火災後初めての夜に聖歌を歌っている。そのほとんどが若者で、群衆の中で立ったり座り込んだりしている。聖ミカエル像の前に置かれたテーブルには、ノートルダム(私たちの貴婦人)、つまり聖母マリアの像が置かれている。

22歳のエロイさんは、「フランスのカトリック教徒として、火災の後はとても気分が悪くなった。でも、たとえ大聖堂が焼けたとしても再建できる、なぜなら教会は石ではなく、私たちの身体でできているから。そう言いたくてこの集まりに来た」と話してくれた。

「私はカトリック教徒だけど、全てのフランス国民――、カトリックも、ムスリムも、無神論者も、この大惨事の前に団結して再建を望んでいる」

夜通し行われたこの集まりでは演奏会も行われた。しかし消防車が側を通り過ぎると、演奏が止まり、人々は拍手と歓声でその勇敢さを称えていた。


(英語記事 Notre-Dame saved within vital half hour