答えは「腕」の陸上自衛隊員。ヤクザは中井貴一、元官僚はユースケ・サンタマリアが演じた。上意下達の組織の中で己の正義に従って動いた熱血漢を、ピエールは見事に体現した。初回、迷彩服に身を包み、上層部の会議にたったひとりで直談判に行き、自衛隊員が戦争に加担させられる法案に断固として反対したのだ。これ、普通のドラマだったら迫力不足のイケメン俳優とか、体育会系御用達俳優が演じて、「キャーかっこいい」で終わるところだが、ピエールの、決してマッチョではない、まんべんなくがっちりした分厚い体型が妙にマッチしていた。

 3人の中ではちょっとコミカルな役どころでもあり、家族からは見捨てられた哀しき英雄でもあり、惚れた女を部下に託して身を引く男気のある役でもあり。大立ち回りのアクションも、ロケットランチャーぶっ放す姿も、やたら魚肉ソーセージを頰張る「男気」演技も、さまになっていた。今となっては遠い目になってしまうのだが、役者・ピエール瀧が最もかっこよかった名作でもある。怪演した映画も実に多数あるのだが、今回は割愛。まずはテレビドラマにおけるピエール瀧の功績をちゃんと称えておきたい。

 保釈時、七三分けで心なしかやつれた顔でメディアの前に姿を現したピエール瀧。長いこと頭を下げていた彼に願うことは、なにはともあれ長期戦になるであろう治療である。警察と厚労省が解明すべきは、薬物を買った人だけでなく売った人と作った人のルートだ。見せしめの効果は絶大だが、社会的制裁が社会的抹殺になってしまうのはどうかと思う。 
保釈され謝罪するピエール瀧被告=東京都江東区(撮影・蔵賢斗)
保釈され謝罪するピエール瀧被告=2019年4月4日、東京都江東区(撮影・蔵賢斗)
 今後、世間の熱しやすく冷めやすい処罰感情をどうとらえるか。テレビ局や映画配給会社の信条が問われることになる。誰がどう判断するか、そこに信念があるかどうか、である。

 そして一番大事なのは本人の心だ。治療に専念して、依存症を克服できた場合、どうしたいか。表舞台に復帰したいのか、それとも一般人としてささやかに暮らしていきたいのか。今すぐ答えを出せ、というわけではない。省みる時間は十分にあるはず。勝手ながら私は、役者・ピエール瀧をいつかもう一度観たいなぁと思っている。

■ピエール瀧、出演作品の相次ぐ自粛「それでも起用」となぜ言えない
■NHK『いだてん』 スタートでコケた理由を邪推したらこうなった
■『半分、青い。』共感できないヒロイン、それでも私は好きである