2019年04月23日 13:56 公開

英・北アイルランドのロンドンデリーで18日に起きた暴動でジャーナリストのリラ・マキ-さん(29)が銃で撃たれて殺害された事件について、アイルランドとの統一を目指す共和派の反体制組織、新アイルランド共和軍(the New IRA)が責任を認めた。

地元紙アイリッシュ・ニュースに届けられた声明で新IRAは、マキーさんの家族や友人に「全面的に心から謝罪する」と書くと共に、マキーさんは「敵軍の隣に立っている時に殺された」と説明した。

暴動現場で撮影された動画では、覆面姿の犯人が身を乗り出して、警察や群衆に向かって発砲している様子が捉えられている。これに、警察車両の近くに立っていたマキーさんが巻き込まれた。

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新IRAは2012年、複数の共和派反体制組織がひとつに統合して発足した。共和派の反体制組織としては最大規模とされる。

声明で新IRAはマキーさん殺害の責任を認め、「敵対勢力への攻撃中、リラ・マキーさんは痛ましいことに、敵軍の側に立っている時に殺された」と説明した。

「新IRAはマキーさんの死について、パートナー、家族、有人に対し心からの謝罪を述べる」

新IRAは一方で、マキーさんを殺害した発砲に至る暴動は、警察が「誘発」したものだと警察を糾弾した。

「18日夜、武装したイギリス王国の警察がクレガンを襲撃し、それを受けて暴動が起きた。新IRAは交戦のために有志を派遣した」

「今後は敵と関わる際には十分に注意するよう有志を指導し、徹底のための措置を図った」という。

マキーさんの友人らは22日、新IRAを支持する共和派政党「シーラ(Saoradh)党」の本部前で抗議デモを行った。共和派のスローガンが書かれた同党の看板に、大勢の女性が赤いペンキを塗った手を押し付けて抗議した。同党は18日の暴動を擁護している。「Saoradh」はアイルランド語で「解放」を意味する。

現場には警察がいたが、その場で逮捕者は出なかった。

警察によると、マキーさん殺害に対して市民から「大きな」反響が巻き起こっている。

捜査を主導するジェイソン・マーフィー警視は、事件を機に治安維持に対する市民感情に「大きな」変化が「実感」できると話した。

また、市民に対して「私と話をしに来てください」と呼びかけた。

警察と検察当局は、公判での証言は危険だと懸念する目撃者を保護するため、方法を協議しているとみられる。

マキーさんが殺されたのは、1998年のイースター聖金曜日に交わされたベルファスト合意(イギリスとアイルランドの和平合意)の21周年に当たるイースターの直前だった。

北アイルランドでは20世紀後半、イギリスの統治に反対する共和派による暴動が30年以上続き、ベルファスト合意までに約3600人が亡くなったとされる。

ベルファスト合意によって、北アイルランド自治政府の発足と議会の設置などが決まった。イギリスとの一体性を求める親英派とアイルランドとの統一を求める共和派が、敵対から一転して協力し合うことになったが、今なお反体制派の活動は続いている。

マキーさんの葬儀は24日、ベルファストの聖アン大聖堂で行われる予定。

パートナーのサラ・キャニングさんは、葬儀はマキーさんの「人生を祝う」ものになると話した。

(英語記事 New IRA 'admits to Lyra McKee killing'