奇妙な地方議員の報酬の高さ


 大阪都構想の反対は、地元の大阪市議会議員に強い。

 市議会議員など地方議員とは何だろうか。そういえば、かなり前に、地方議員がマスコミを賑わしたことがあった。

 東京都議会において、塩村文夏都議(みんなの党)に対し複数の人からのセクハラやじがあった。世間の批判を受けて、鈴木章浩都議(自民党)だけが名乗り出た。ただし、同都議だけがセクハラやじをしたわけでなかった。
事務の引き継ぎを終え、握手する橋下徹大阪市長(右)と平松邦夫前市長
=2011年12月9日、大阪市役所

 こうしたセクハラやじ騒動を打ち消すかのように、お笑いタレントも真っ青になるくらいに「笑える」記者会見を行った県議会議員が現れた。兵庫県議会の野々村竜太郎県議(無所属)だ。実は、300万円に上る政務活動費の不正使用疑惑なので、笑っている場合ではないのだが、その弁明の記者会見における涙ながら絶叫ををみたら、お笑いと勘違いしてしまうほどのインパクトだ。

 なぜ、このような地方議員が出てきてしまうのだろうか。多くの地方議員はそうでないと信じたいが、一つの仮説をあげてみたい。日本の地方議員を国際的な観点から見ると、議員一人当たりの報酬等が極めて高いという事実がある。あるシンクタンクの資料であるが、年間の議員報酬等について、日本680万円、アメリカ65万円、ドイツ50万円、イギリス74万円、フランスほとんど無報酬、韓国240万円、スウェーデン日当のみ、スイス日当のみと書かれていた(2005年当時)。あまりに高すぎるために、地方議員に不適格な人まで地方議員になっているという仮説である。

 それにしても、地方分権が進んでいない日本の地方議員の報酬等が極めて高いのは奇妙である。地方分権が進んでいないので、地方議会の行う立法・条例作業は少ないはずだ。それでも報酬が多いのは、仕事と比較して実質的な報酬はさらに高いことを意味する。

なぜ、市議会が都構想に反対するのか


 高い報酬は欲しいが、仕事はしたくないという態度を露骨に感じることもある。例えば、大阪都構想への反対だ。大阪都構想が実現すると、今の市議会議員が区議会議員になり、しかも地方分権になるので仕事が増える。
大阪市議会議員の報酬は月額77.6万円であり、東京都の区議会議員を含めすべての市区町村議員より高い。都構想ではこれが不都合になる。

 大阪市議会がなぜ大阪都構想に反対するのか。市議にとって都政移行は、報酬が下がり仕事量が増えることが真相だと邪推していまいそうである。

 大阪都構想に反対する人は別にもいる。補助金や交付金などこれまで大阪市から直接資金交付を受けていた人にとっては、これからの資金交付は、大阪府か特別区になる。そうした人々にとっては、大阪都構想の実現で被る影響は多い。その既得権者に反対者が多いようで、賛成論者はその既得権者をシロアリと呼んでいる。

 橋下氏は、大阪都構想を長年粘り強く取り組んできた。2008年に大阪府知事になって、大阪府と大阪市の二重行政の根深さに気がつき、2011年に大阪市長に鞍替えしてまで、二重行政の排除に尽力した。

 ここまでする地方政治家はいないが、それでも二重行政が排除できないとわかると、次には、国を動かし、2012年に「大都市地域特別区設置法」の成立までこぎ着けた。同法による住民投票で、大阪市議会の同意がえられなかったが、それを切り抜け、なんと最終段階の住民投票まで来ている。これだけで、橋下氏の熱意・執念がわかる。

 住民投票において、これらの論点を大阪市民がどのように判断するのだろうか。

 投票結果で何が変わるかと言えば、行政サービスにはほとんど変化がない。というのは、現行の大阪市と大阪府の役割分担が変わるが、行政サービス自体は府か特別区のいずれが行うので、住民が受ける行政サービスには変わりがない。でも、将来の大阪は変わるだろう。