2019年05月01日 16:53 公開

武装組織「イスラム国(IS)」が29日、最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者だとする男の動画を、IS系インターネットメディア・アルフルカンで公開した。男はISの支配地域が奪われたことに対する報復を訴えている。

バグダディ容疑者は、2014年にイラク北部モスルで、同国とシリアにまたがる「カリフ制国家」の樹立を宣言して以来、姿が確認されていない。一部では死亡説も出ていた。

今回の動画は約18分。いつ撮られたのかは不明だが、ISは4月に撮影したとしている。

バグダディ容疑者とされる男は、ISがシリアの最後の拠点としていたバグズの戦いについて、「戦いは終わった。この戦いの後、さらなる戦いが続くだろう」と述べ、敗戦を認めた。また、ISは「消耗戦」を展開していると話している。

男はまた、ブルキナファソとマリの戦闘員たちが忠誠を示したと説明。さらに、長年の専制を4月に終わらせた、スーダンとアルジェリア両国における民衆の抗議行動を引き合いに、ジハード(聖戦)が「暴君」に対する唯一の解決策だと話している。

動画の終わり近くでは、バグダディ容疑者とされる男の姿が消え、スリランカ連続爆破攻撃事件について話す男の声が流れる。この音声部分は、動画を撮影した後に追加されたとみられる。

スリランカ爆破攻撃は「報復」

男はスリランカの爆破攻撃について、ISが支配していたシリアのバグズを制圧されたことへの報復だったと話している。

BBCモニタリングのアナリスト・ミナ・アルラミは、ISが以前に出したスリランカ爆破攻撃の犯行声明には、バグズへの言及はなかったと話す。

バグダディ容疑者は、昨年8月に本人の声とされる音声が公開されて以来、肉声も確認されていない。

アメリカ国務省の報道官は、専門家が動画の分析に当たると説明。さらに、米軍を中心とする連合軍は、「残存している(ISの)指導者たちに司法の裁きを受けさせる」ことに全力を尽くしていると述べた。

<解説>敗れたが、降参はしていない ――フランク・ガードナー、BBC安全保障担当編集委員

バグダディ容疑者の熱心な支持者たちにとっては、今回の動画は内容のみならず、象徴的な意味も大きい。

発しているメッセージは、大方の予想に反してバグダディ容疑者が生存していた、ということだけではない。特殊型のAK自動小銃をそばに置き、軍用にも見える魚釣り用のベストを着て脚を組んでしゃがんでいる、年齢不相応の白くて長いひげ(彼はまだ47歳だ)をたくわえた指導者の姿は、国際武装組織「アルカイダ」の指導者だったオサマ・ビンラディン容疑者を彷彿させる。

過去5年間、ISはメディアにおける存在感でアルカイダを圧倒している。同時に、ISはアフリカやアジアで過去にアルカイダに支援を求めていた組織に対し、接触を試みている。

今回の動画の主要目的は明快だ。ISは軍事的に敗れはしたものの生き延びていて、その指導者は2500万ドル(約28億円)の懸賞金がかけられたまま、なお捕まっていないことを示すことだ。