2019年05月06日 14:09 公開

北朝鮮の国営メディアは5日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が4日、同国の日本海上で行われた東部前線防御部隊の「打撃訓練」を指導したと報じた。4日午前には「複数の短距離の飛翔体」が日本海に落下したことが確認されている。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)によると、金委員長は「戦闘能力を高める」ために発射命令を下したという。

「大口径長距離多連装ロケット砲」の打撃訓練の目的について、「運用能力と任務遂行の正確性」を確認するためとしている。

金委員長は、いかなる勢力の脅威と侵略に直面しても、国の「政治的主権と経済的自立を固守する」必要性を強調したほか、朝鮮人民軍に対し、「強い力によってのみ真の平和と安全が保障され、保証されるという哲理」を心に留めるよう伝えた。

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4日の「飛翔体」発射を受けてドナルド・トランプ米大統領はツイッターで、金委員長はより良い関係への道を危険にさらしたりはしないだろうと述べた。

「金正恩は北朝鮮における素晴らしい経済的な可能性を十分理解しており、それを妨げたり、終わらせるようなことはしないと、僕は信じている。僕が彼を支援していることも、向こうは承知しているし、僕への約束を破るつもりはないはずだ。合意は実現する!」とトランプ氏はツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1124670603179565056

トランプ大統領は今年2月のヴェトナム・ハノイ会談後の記者会見で、金委員長が「制裁の全面解除を求めてきた」と明らかにし、現時点で合意文書に署名することは適切ではないと考えたと述べた。

発射実験の背景

北朝鮮は、核協議を前進させるため、米国への圧力を高める狙いがあったとみられる。

先月18日には、KCNAは金委員長が「強力な弾頭」を装着した新型の「戦術誘導兵器」の発射実験を視察したと報じていた。この発射実験は、2月に金委員長とトランプ大統領の首脳会談が物別れに終わって以降、初めてだった。

複数のアナリストによると、北朝鮮が4日に発射したのは短距離の固体燃料型弾道ミサイルで、2017年11月29日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)15」以来の重大な発射実験だという。

金委員長は昨年4月、核実験とICBMの発射実験中止と核実験場の廃棄を表明した一方、日本を射程に収める短・中距離ミサイルの扱いについては触れていなかったため、今回の発射実験は米国との約束を破るものではない。

しかしBBCソウル特派員のローラ・ビッカー記者によると、北朝鮮は、核開発の全面中止に本格的に取り組まない限り、経済制裁の全面解除には応じないというアメリカ側の強い姿勢に、苛立ちを募らせているとみられる。

各国の反応

韓国軍合同参謀本部は声明で、北朝鮮が4日午前9時6分ごろから27分ごろにかけて、同国東部の江原道元山(カンウォンドウォンサン)付近から北東の日本海方向に複数の短距離ミサイルを発射したと明らかにした。飛行距離は70キロから200キロで、飛翔体は日本海に落下したという。

韓国はこれまで北朝鮮に対し、「朝鮮半島における軍事的緊張を高める行為を中止」するよう求めていた。

AFP通信によると、ドイツ外務省は「核兵器とミサイルの開発を放棄するための北朝鮮からの具体的な対応を国際社会が待ち望んでいるこのタイミングでの、北朝鮮の最近のミサイル発射は挑発行為である」と述べたという。

「我々は、このような挑発にも関わらず、交渉プロセスの支持を継続する用意があるとのトランプ大統領の宣言を歓迎する」

北朝鮮の兵器開発実験

今回の発射地点とみられる元山では、これまで地対艦巡航ミサイルや長距離ミサイルの発射実験が行なわれている。

KCNAは、金委員長が先月視察したとする新型の「戦術誘導兵器」について、「特殊飛行誘導モード」を装備しており、「異なる標的に向けてさまざまなモードで実施された」と報じた。専門家は、陸上や海上または上空から発射できる兵器とみている。ミサイルかどうかは不明だが、短距離兵器だとの見方が出ている。

北朝鮮は昨年4月に核開発中止を約束した後も、核開発を継続していたとみられる。

米戦略国際問題研究所(CSIS)が先月16日に公開した衛星画像では、核施設に動きが見られ、放射性物質を爆弾燃料に再処理できる可能性が指摘されていた。

北朝鮮はこれまでに、アメリカ本土を射程に収める長距離ミサイルに搭載可能な小型の核弾頭を開発したと主張している。

(英語記事 Kim Jong-un oversees 'strike drill'