実は、韓国も北朝鮮も、国家の「無言の意思」を切手発行という形で表現していることがある。韓国には文大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談を記念した豪華な仕様の切手があるが、北朝鮮では、そのような豪華な切手は発行していない。

 両国の温度差は切手からも明らかである。南北だけではなく、韓国は日本や米国との外交関係も遠のきつつある。特に、日韓はいわゆる自称「元徴用工」問題を契機に、緊張が高まっている。

 筆者は、韓国最高裁の一連の判決や、また「元徴用工」原告側による裁判所への日本企業の資産売却申請などは、韓国政府の「元徴用工」側に対する補償政策の失敗が、そもそもの原因だと認識している。つまり、韓国国内の問題を、日本に付け替えているだけにすぎない。

 康外相は、この点も「介入はしない」と言明していて、自国の政策の失敗を認めようとはしていない。日本政府がたび重ねて協議を求めていることについては、「今後の検討材料にする」というあいまいな姿勢でお茶を濁している。

 だが、韓国政府のこのような態度は、日本政府にも責任がある。この連載でも繰り返し主張しているが、日韓の外交関係が長期的に安定するためには、相手がルール破り(日韓基本条約など)を犯したときには、「しっぺ返し戦略」を採用することが望ましいのである。

 交渉の相手側は、自分がルールを破れば、相手はその都度、しっぺ返しをしてくることを予測して、ルール破りの自粛を選ぶ。このような「ゲーム理論」の基本をベースにして、日本政府は韓国政府に対して、報復措置を行う必要がある。
北朝鮮で販売されている南北首脳会談を記念する切手シート=平壌(共同)
北朝鮮で販売されている南北首脳会談を記念する切手シート=平壌(共同)
 その手段としては、既に多くの識者が具体的に提言している。関税、金融取引の制限、ビザ(査証)発行の厳格化などが挙げられている。ところが、日本の安易なリベラル系の人たちに多いが、この措置が「韓国嫌い」の感情に基づいたものや、日韓関係を損ねるものと映るようだ。

 上述のように、「しっぺ返し戦略」は長期的な関係を破壊するのではなく、むしろ構築するためのものだ。しかも、対応としても合理的であり、好き嫌いのような感情とは無縁である。日本政府もいつまでも口で言うだけではなく、これらの対抗措置を実施すべきではないだろうか。