2019年05月08日 11:44 公開

イギリスのデイヴィッド・リディングトン内閣府担当相は7日夜、5月23日に行われる欧州議会選挙にイギリスが参加する必要があるとの見方を示した。

テリーザ・メイ首相はかねて、この日までにイギリス議会が欧州連合(EU)離脱協定に合意すれば、欧州議会選挙に参加する必要はないとしていた。

しかし、メイ首相の実質的な右腕とされるリディングトン氏は、「残念なことに」イギリスが法的に選挙に参加するかを決めなければいけない期日までに「そのプロセスを終わらせることは不可能だろう」と話した。

イギリスは3月29日にEUを離脱する予定だったが、議会がブレグジット(イギリスのEU離脱)協定に合意しなかったため、EUは離脱期限を10月31日まで延長した。

協定が承認された段階でブレグジットは前倒しになるが、5月23日までに離脱できない場合は、欧州議会選挙に参加する法的義務が発生する。

イギリス政府は現在、最大野党・労働党と離脱協定の妥協案を模索し、協議を続けている。

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メイ首相の報道官は、首相はイギリスが予定通り3月末にEUを離脱できなかったことを「深く後悔」しており、欧州議会選挙への参加に多くの人が「いらだちを覚えている」ことを理解していると述べた。

一方で、7月に欧州議会が開会する前にはイギリス議会でブレグジット協定を承認させたい考えを示した。

欧州議会選挙に向け、野党は候補者を決定して選挙活動を始めているが、与党・保守党はまだそうした発表をしていない。

リディングトン内閣府担当相は、「EU離脱の出口を見つけ出すことで(中略)欧州議会選挙に参加しなくてもよくなることを心から願っているが、法的には、ブレグジットが発効するまでは参加を義務付けられている」と説明した。

その上で、政府は「欧州議会選挙後の遅れをできるだけ短く」できるよう、他党との協議を前進させるため「一層、努力する」と述べた。

「夏休みまでに全てを終わらせられるのが望ましい」

政府関係者によると、6月30日までにブレグジットが実現すれば、イギリスの欧州議会議員は議会に出席する必要がない。

EU離脱がそれ以降になった場合も、7月のイギリス議会の夏休みまでに決まれば、欧州議会への出席は8月1日までの1カ月間に抑えられるという。

欧州議会選挙にかかる費用は約1億5000万ポンド(約216億円)とみられている。

与野党はなお合意できず

政府は議会でのこう着状態を打破するため、労働党とEU離脱条件の譲歩案を模索している。譲歩案がまとまらなかった場合、政府は議会にさまざまなブレグジット案を提出し、もっとも支持の集まるものを決める「示唆的投票」を行うと約束している。

労働党のレベッカ・ロング=ベイリー影のビジネス担当相は7日、与野党協議は「非常に活発」に行われてるが、現時点では何も決まっておらず、政府は「一線」を越えて譲歩するべきだと話した。

別の労働党筋はBBCのローラ・クンスバーグ政治編集長の取材で、与野党の間にはなお「根本的な」問題や相違が横たわっており、労働党側にはいらだちがみられると話した。

これに対し首相官邸は、話し合いは「建設的で子細にわたっている」と述べ、8日にも引き続き協議を進めるとしている。

一部のEU離脱派からは、メイ首相がEUとまとめた離脱協定が3度も議会で否決されたにもかかわらず、なお労働党と譲歩案をまとめようとしていることに怒りの声があがっており、首相に辞任の期日を決めるよう求める議員もいる。

BBCのクンスバーグ政治編集長は、政府は離脱協定をある種の足がかりだと言って労働党を納得させようとしていると説明する。今はこの協定で妥協してもらい、次の総選挙で労働党が勝った暁には独自の離脱協定を作ればいい――という理論だ。

そのための鍵となるのが、「一時的な関税同盟」という案だが、労働党筋はこれでは不十分だという。

労働党はかねて、ブレグジット後もEUとは恒久的な関税同盟を結び、税関や関税を避けたい考えを示している。

しかしEU離脱派は、関税同盟を結べばイギリスはEUの規則に従う必要があり、他国との通商協定も結べなくなると反対している。

欧州議会選挙とは

欧州議会はEUの法律や予算などを決める機関で、各EU加盟国に人口に応じた議席が割り当てられている。

5月末に行われる欧州議会選挙では、751人の欧州議会議員が選出される。最も議席が少ないのはマルタ(人口約50万人)の6議席、最大議席はドイツ(人口約8200万人)の96議席だ。

イギリスには73議席が割り当てられており、12の地域から人口に応じ、それぞれ3~10人の欧州議会議員が選出される。

イングランド、スコットランド、ウェールズでは比例代表制が取られ、得票数に応じて各党の議席数が決まる。

一方、北アイルランドでは単記移譲式投票という制度で、候補者は届け出名簿に左右されず、得票数で順位が決められる。

欧州議会は先に、ブレグジット後はイギリスの持つ73議席のうち46議席を抹消し、残りの27議席を議席数の少ない加盟国に振り分けることで合意している。


<分析>クリス・モリス、BBCリアリティー・チェック(ファクトチェック)

万が一、与野党が向こう数日のうちに譲歩案を見いだしたとしても、その譲歩案が議会で過半数を取る保障がない以上、それはブレグジットの小さな第一歩に過ぎない。

そして、この第一歩もまったく十分ではない。

4月のEU首脳会議では、5月22日までにEU離脱協定がイギリスの議会で批准されない場合、イギリスでも欧州議会選挙を行うことが決まった。メイ英首相も含めた全会一致での決定だった。

ここでいう批准とは、イギリス政府とEUがまとめた離脱協定をイギリス議会が賛成多数で可決し、この協定を離脱協定法としてイギリスの法律にするまでのプロセスを指す。

そして、リディングトン内閣担当相が公に認めたように、これをすべて5月22日までに行うには、時間が足りなくなってしまったのだ。


(英語記事 UK will take part in European elections