2019年05月10日 12:32 公開

米司法省は9日、国連安全保障理事会の経済制裁で禁止されている石炭を輸送したとして、北朝鮮籍の貨物船を差し押さえたと発表した。アメリカが北朝鮮の船舶を差し押さえるのは初めて。

北朝鮮の主要な輸出品目である石炭をめぐっては、国連安保理が2017年8月、輸出を禁止する制裁を全会一致で採択した。

今回差し押さえられた貨物船は、昨年4月にインドネシアで拿捕(だほ)されたもので、アメリカによる差し押さえ令状に基づき引き渡された。

アメリカが制裁違反を理由に北朝鮮籍の船舶を差し押さえるのは初めて。

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2月にヴェトナム・ハノイで行なわれた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ米大統領による2回目の会談では、朝鮮半島の非核化に向けた合意には至らなかった。核計画の放棄を求めるアメリカと、経済制裁の解除を求める北朝鮮の隔たりが浮き彫りとなった。

物別れに終わったヴェトナム会談以降、米朝関係は悪化している。

北朝鮮はわずか1週間の間に、兵器の発射実験を2度行なった。アメリカに圧力をかける狙いがあるとみられる。

差し押さえられた貨物船

北朝鮮籍の貨物船「ワイズ・オネスト(the Wise Honest)は 、もともと昨年4月にインドネシア海運当局が拿捕したもので、同年7月にアメリカが差し押さえ令状を出していた。

貨物船はすでにインドネシア側からアメリカ側へ引き渡されており、同国に輸送中という。

アメリカ側は今回の差し押さえについて、4日と9日に北朝鮮が行なった発射実験とは無関係だと強調している。

ジェフリー・バーマン連邦検事は、「我々は、『ワイズ・オネスト』の船籍を隠し、大量の高純度の石炭を国外の輸入者に輸出するという、北朝鮮の陰謀を暴いた」と述べた。

「この陰謀は、ただ制裁を回避するものではなかった。『ワイズ・オネスト』は北朝鮮国内への重機の輸入にも利用されていた。北朝鮮の能力を拡大させ、一連の制裁からの回避を継続させるものだった」

「ワイズ・オネスト」の維持費は、アメリカの銀行を通じて米ドルで支払われていたとされる。

米朝は非核化協議を再開できるのか

9日に韓国・ソウル入りしたスティーヴン・ビーガン北朝鮮担当特別代表は現在、非核化協議の再開への道筋について韓国の担当者と協議中だ。

トランプ大統領は9日、北朝鮮による2度の発射実験について、「誰も喜ばない」と不快感を示した。

「北朝鮮が非核化について交渉したがっているのは知っているが、北朝鮮は交渉の用意ができていないようだ」

トランプ大統領は昨年6月、現職の米大統領として初めて北朝鮮首脳と会談し、今年2月にも2回目の会談を行なった。しかし当初掲げていた、朝鮮半島から核兵器を排除するという目標にむけた具体的な進展には至っていない。

金委員長は昨年4月、核実験とICBMの発射実験中止と核実験場の廃棄を表明したが、核開発はその後も継続していたとみられる。

米朝会談の数少ない具体的な成果の1つだった、朝鮮戦争で死亡した米兵のものとされる遺骨の返還は、現在一時中止されている。

(英語記事 US seizes North Korean coal ship