公共事業の増加は、いわゆる東京五輪・パラリンピックの前年ということで、その効果が最も顕在化していると思われる。要するに、この数字も放っておけばやがて減衰するわけである。

 特筆すべきは、輸入の急減であり、さかのぼればリーマンショック直後の2009年第2四半期以来となる大幅減少だ。まさに「リーマンショック級」の危機の足音が聞こえているのである。

 輸入が弱いのは、すなわち国内需要の急減を示している。ところが、政権内部からは、茂木敏充経済再生相のように「内需の増加傾向は崩れていない。消費増税は予定通り行う」という発言が出ている。

 今まで説明したように、内需の実体は悪い。そして、この傾向が今後さらに悪化してもおかしくないことを示している。

 リーマンショック級の経済状況を、消費税によって自ら招く危機感を政権は抱くべきだ。だが、これは筆者がたまたま聞いた話だが、財務省の幹部は「すでに消費増税を前提とした予算が通過し、法案の縛りもあるのでいまさら増税の変更はない」と裏で発言しているようである。

 財務官僚はどんなに国民に悪いことが起ころうとも、いったん決めたことを自然法則のように固執する。それを政治家たちやマスコミの一部も支持する。ある種の精神主義的な考えであり、日本を本当の意味で滅ぼす発想だろう。

 消費増税について、安倍晋三首相の最終判断がどうなるかは、この原稿を書いている段階ではまだわからない。もちろん、経済統計だけで判断するわけではないことは自明だ。

 安倍首相の念頭にあるのは、当たり前だが政治的権力の維持だ。それには、政権の維持可能性を高めることに尽きるわけで、間近に迫った参院選での「勝利」は前提の一つだろう。
GDP速報値の発表を受け、記者会見する茂木経済再生相=2019年5月、内閣府
GDP速報値の発表を受け、記者会見する茂木経済再生相=2019年5月、内閣府
 また、衆参同日選の足音もますます高まっている。この選挙での勝利、イコール政治的権力の維持が、安倍首相の「目的関数」である。つまり、消費増税するもしないも、この政治的目的のツールでしかない。

 もちろん筆者は、国民の経済的厚生を第一に考えているので、首相の目的関数とは明白に異なる。多くの国民もまた自分たちの幸福こそが目的であろう。だが、ここでは安倍首相の政治的な目的関数を少し考えてみたい。