2019年05月23日 16:11 公開

アメリカの大統領選挙にロシアが介入した疑惑で関与が疑われているドナルド・トランプ大統領と、解明を求める野党・民主党の対立が一段と激化している。トランプ氏は22日、「隠蔽(いんぺい)」があったと述べた民主党幹部との面会を5分で打ち切り、強く非難した。

トランプ氏の反発は、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)が22日に記者団に対し、トランプ氏が不利な事実の隠蔽に関わったと発言したことを受けたもの。

ペロシ氏は、民主党内でトランプ氏の弾劾を求める声が高まっているのは時期尚早とし、同党議員らに冷静な対応を求めている。

一方でこの日、民主党を弾劾要求へと突き動かしているのはトランプ氏自身に他ならないとの見方を記者団に語った。

突然部屋を退出

このペロシ氏の発言があった後、トランプ氏はホワイトハウスでペロシ氏と、チャック・シューマー上院院内総務(民主党)と面会した。もともと3人は、道路や橋などの老朽化問題について意見を交わす予定だった。

米CBSニュースによると、面会の部屋に現れたトランプ氏は、ペロシ氏、シューマー氏のどちらとも握手しなかったという。

関係者によると、トランプ氏は隠蔽に関するペロシ氏の発言について、「ひどい」言いがかりだと非難。民主党がトランプ氏に関する調査をやめるよう求め、やめないならどんな問題についてであろうと話し合いはできないと述べると、突然部屋から出て行ったという。

「怪しげな調査」

その直後、トランプ氏はホワイトハウスの中庭に姿を見せ、民主党が「怪しげな調査」をしていると批判した。

トランプ氏はまた、民主党は権力を「乱用」し、「iで始まるあの言葉」(弾劾・impeachment)をちらつかせていると非難した。

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一方、ペロシ氏はその後のイベントで、「公に明らかになっている事実は、この大統領は司法を妨害していて、隠蔽に関与していることだ。それらは弾劾に値する違反行為だ」と述べた。

トランプ氏とペロシ氏は、メキシコとの国境の壁建設をめぐり連邦政府が一部閉鎖された昨年末にも、ホワイトハウスで激しい舌戦を交わしている。

司法妨害の疑惑を追及

3月に司法省に提出されたロバート・ムラー特別検察官の捜査報告書は、トランプ氏側とロシア側で謀議があったとは断定していないが、トランプ氏が司法妨害をしたと疑われる複数の事象を挙げている。

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22日には、トランプ氏を追及する民主党にとって、いくつかの前進があった。

ニューヨーク連邦地裁は同日、ドイツ銀行とキャピタル・ワン銀行がトランプ氏の資産報告書を民主党議員たちに提供するのを認める決定を出した。

また、民主党が多数を占めるニューヨーク州議会上院は、トランプ氏の納税申告書の公開を目的とした法案を可決した。

弾劾の可能性は?

米連邦議会の下院は民主党が多数派だが、上院は与党・共和党が多数を占めている。そのため、弾劾決議案が下院で可決されても、上院での弾劾裁判がトランプ氏を実際に弾劾する可能性はほぼない。

ペロシ議長は、トランプ氏は民主党に弾劾手続きに着手させようと、民主党を「あおっている」ようだと発言している。

一方で、民主党の若手議員を中心に、弾劾決議を求める声が高まっている。ペロシ議長が民主党議員団と協議した22日の会議後には、新人のケイティー・ヒル下院議員がAP通信に、大統領が挑発的な行動に出るごとに、弾劾は「避けがたい」ものになっていると話した。

過去の大統領で弾劾されたのは、アンドリュー・ジョンソン氏とビル・クリントン氏のみ。

(英語記事 Trump hits back at Democratic 'cover-up' claims