2019年05月24日 12:40 公開

米司法省は23日、内部告発サイト「ウィキリークス」の共同創設者ジュリアン・アサンジ被告(47)について、新たに17件の罪で起訴したと明らかにした。4月にイギリス・ロンドンで逮捕された被告をめぐっては、アメリカが身柄の引き渡しを求めている。

米司法省の起訴状によると、アサンジ被告は2010年に米軍の機密情報や外交文書を公開し、同国の諜報活動取締法に違反した疑いがある。

同省はすでに、同国の元陸軍情報分析官チェルシー・マニング氏と共謀し、政府の機密情報を扱うコンピューターに侵入した容疑でアサンジ被告を訴追している。有罪となれば最長5年間、刑務所で服役する。

先月11日、アサンジ被告はイギリスのウエストミンスター治安裁判所に出廷。定められた裁判所への出頭を怠ったとして有罪判決を受けた。

<関連記事>

アサンジ被告には、2010年にストックホルムで開かれたウィキリークスの会合後、女性1人を強姦した容疑や、別の女性1人に性的暴行を加えた容疑がかけられていた。

一方、アサンジ被告は性行為は同意の上だったとして、容疑を否認。スウェーデンの検察当局による捜査開始後の2012年にロンドンのエクアドル大使館に保護を求め、以来7年間、スウェーデンへの身柄引き渡しを逃れてきた。

そのためスウェーデンの検察当局は、捜査継続が難しいとして、2017年に打ち切りを発表。強姦容疑については2020年8月に時効となる。

エクアドルのレニン・モレノ大統領は、アサンジ容疑者が国際条約に繰り返し違反し、諸外国の内政に干渉したとし、「アサンジ氏の行状について、我々として限界に達した」と述べ、保護中止を発表。これを受けてロンドン警視庁は先月11日、アサンジ被告をロンドンのエクアドル大使館で逮捕した。

アサンジ被告は裁判で禁錮50週を言い渡され、現在はロンドンのベルマーシュ刑務所に収監されている。

人命への危険生んだ疑い

起訴状によると、アサンジ被告は「機密情報へのアクセス権を持つ提供者に対し、機密情報を盗み、それを開示するためにウィキリークスに提供するよう、繰り返し促していた」という。

さらに、マニング氏が情報提供を始めると、アサンジ被告は同氏に対し、「機密文書を盗み続けることと、米軍のコンピューターにアクセスするためのハッシュ化されたパスワードの解析に同意すること」を求めた。

アサンジ被告はアフガニスタン人やイラク人、中国人やイラン人を含む「情報提供者の名前を公開し、人命への重大で差し迫った危険を生み出した」としている。

有罪となれば、多くの罪状それぞれに対し、5年から10年の禁錮刑が言い渡される可能性がある。

今回の起訴を受けてウィキリークスはツイッターで、「これは狂気の沙汰だ。これは国家安全保障上のジャーナリズムの終わりであり、米憲法修正第1条の終わりだ」と反論した。修正第1条では言論の自由が保障されている。

司法省のジョン・デマーズ次官補(国家安全保障担当)は、同省は「我々の民主主義におけるジャーナリストの役割について真剣に」受け止めているが、アサンジ被告は「ジャーナリストではない」と述べた。

「実際、ジャーナリズムにおける責任ある行為というのは、紛争地域において機密とされる個人名を故意に公開し、彼らを最も深刻な危険にさらすということではない」

アサンジ被告の状況

ロンドンのベルマーシュ刑務所に収監されているアサンジ被告をめぐっては、スウェーデンの検察当局が13日、強姦容疑の捜査を再開すると発表。米国と同様に、被告の身柄引き渡しを求めている。

イギリスのサジド・ジャビド内相が、両国どちらの要求を優先するか判断することになる。

マニング氏はどうなったのか

マニング氏は、数十万件にも及ぶ軍機密情報を漏えいした罪で、2013年に軍事法廷で35年の禁錮刑の判決を受け服役。バラク・オバマ前大統領の恩赦で減刑され、2017年1月に釈放された。

今年3月にウィキリークスに関する捜査への証言を拒否したとして再び収監されたが、今月9日に釈放された。

その後、大陪審による取り調べを拒否したことから、現在は再び収監されている。

マニング氏による機密情報漏えいは、アメリカ史上最大規模の情報漏えい事件の1つ。

(英語記事 US lays new charges against Assange