舛添要一(前東京都知事)

 北方領土へのビザなし交流訪問団に参加した丸山穂高衆院議員が5月11日に、酒に酔って元島民の大塚小弥太団長に「戦争でこの島を取り返すこと」の賛否について質問したことが問題になっている。

 所属する日本維新の会は、丸山議員の除名を決め、松井一郎代表(大阪市長)も「外交上も非常に大きい問題だ。議員を辞めるべきだ」と述べている。そして、立憲民主党など野党に呼びかけて、17日、共同で議員辞職勧告案を提出した。

 これに対して、丸山議員は議員辞職を否定し、20日にも記者団に対して、「言論の府が自ら首を絞めかねない行為だ。絶対に辞めるわけにはいかない」と述べた。そして、「可決されようがされまいが任期を全うする」とツイートしている。

 まず問題なのが酒癖の悪さである。確かに、アルコール飲料が入るとすっかり性格が変わったようになり、非常識な行動に出る人はいる。中でも、饒舌(じょうぜつ)になる者が多い。自分のことを振り返っても、若いころは暴飲暴食し、素面(しらふ)になったときに恥ずかしい思いをしたことがある。

 その後、フランスで生活して教えられたのは、自分で自分をコントロールできなくなるまでに飲んではならないということであった。当時フランスでは、お昼ご飯のときにもワインを水のような感じで飲んでいたし、飲酒運転の取り締まりなどもなかった。あくまで半世紀前の話で、今では日本と同様に厳しく規制されるようになっているが、お酒の飲み方について社会でルールが確立されていたから、そのようなおおらかな対応が可能だったように思う。

 丸山議員は2015年末にも飲酒で不祥事を起こし、「公職にいる間は断酒する」と宣言していたはずである。それが、北方領土に関する発言のみならず、大声で「女性のいる店で飲ませろ」などと語り、禁止されている宿舎からの外出を試み、玄関先で政府関係者に羽交い締めにされて止められたわけである。
2019年5月12日、国後島の宿舎で、前夜酒に酔い騒いだことについて謝罪する丸山穂高衆院議員(右端、同行記者団撮影)
2019年5月12日、国後島の宿舎で、前夜酒に酔い騒いだことについて謝罪する丸山穂高衆院議員(右端、同行記者団撮影)
 何より断酒の約束を違えたことは問題であるし、酒癖の悪いことを自覚しているのであれば、もっと慎重であるべきであった。国会議員であれば、正月をはじめ、さまざまな酒席に参加しなければならないが、「酒が飲めない」と断れば、それでも強要するような有権者は、今はいない。

 第二の問題は、その軍事知識の乏しさである。国会議員は、安全保障について基礎的な知識を備えていなければならない。