2019年05月29日 18:07 公開

欧州議会選で得票率や議席を大きく後退させた英最大野党・労働党は27日、ブレア政権の広報担当だった重鎮アラスター・キャンベル氏が欧州議会選で自由民主党に投票したことを理由に除名した。

これに対してキャンベル氏は28日、自分は「いつまでも労働党支持者」だが、今回の選挙ではイギリスの欧州連合(EU)残留を明確に支持する党に投票すべきだと判断したと説明している。

トニー・ブレア元首相の報道担当補佐官だったキャンベル氏は26日夜、BBCの開票特番で、自分が野党・自由民主党に投票したと明らかにした。キャンベル氏は以前からブレグジット(イギリスのEU離脱)について、離脱条件をあらためて国民に当う2度目の国民投票を実施すべきと、積極的に運動していた。

EU加盟28カ国から欧州議会議員を選ぶ選挙は26日に開票が始まり、ブレグジットを掲げる新党のブレグジット党が最多議席を獲得。EU残留を主張する自由民主党がそれに続いた。

一方、国内2大政党の与党・保守党と最大野党・労働党は、共に大きく議席を減らした。

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労働党が欧州議会選で得票率14%に落ち込み、前回から11ポイント以上減らしたのは、ブレグジットや2度目の国民投票について、これまで党としての立場を明示してこなかったことが影響したのではないかと、党内外で言われている。

保守党の得票率は9.1%で、前回から14.8ポイント減らした。新党ブレグジット党は得票率31.6%、自由民主党は同20.3%で、13.4ポイント増えた。

ブレグジットに賛成か反対かの合計で見ると、ブレグジットを明確に支持するブレグジット党とイギリス国民党(UKIP)の得票率が34.9%だったのに対し、ブレグジットに明確に反対する自由民主党、緑の党、スコットランド国民党(SNP)、チェンジUK、プライド・カムリの合計は40.4%と、EU残留派が離脱派を上回った。

「戦術的」に他党へ投票

キャンベル氏が労働党に投票しなかったと発言したことを受け、労働党は同氏を除名処分とした。同党幹部のドーン・バトラー影の女性・平等担当相は、他党への投票を認めた党員は「自動的に除名される」、「それが決まりだと誰でも知っている」と述べた。

キャンベル氏は自分が発言からたちまち除名されたことについて、「とても奇妙な対応だと思うし、党内のユダヤ差別の指摘にすぐに対応しなかったことと対照的だと、当然のように大勢が思うはずだ」と話した。

労働党については近年、党内でのユダヤ人差別の批判が相次ぎ、複数の議員がそれを理由に離党している。キャンベル氏の発言の前には、英政府の平等人権委員会(EHRC)が正式に、問題について調査すると発表したばかりだった。

キャンベル氏はさらに、自分のほかにも労働党の下院議員や市議会議員、貴族院議員が同じように自由民主党に投票し、ブレグジットについて党指導部の方針を「戦術的」に改めさせようとしたはずだと述べた。

欧州議会選で労働党が大きく後退したことを受け、党内のEU残留派はジェレミー・コービン党首に対して、2度目の国民投票を明確に支持するよう呼びかけている。

キャンベル氏は、「自分が労働党を離れたとは思っていないし、自分はいつまでも労働党支持者だ。いまジェレミー・コービンの周りにいる一部の人間より、自分のほうが労働党の中とまわりに長く留まることになると思う」と党指導部を批判し、除名処分の取り消しを求めていくつもりだと話した。

キャンベル氏は次の総選挙では労働党に投票したいのはやまやまだが、「今からそれまでの間に労働党がブレグジットについてどういう政策を示すかによりけりだ」とも述べた。

労働党は、「党員がどう投票するかは各自の個人的な問題だが、他党や他党の候補への支持を公に宣言したり、支持を促したりするのは、党則違反で、党員資格と相容れない」と説明している。

これについてキャンベル氏は、自分がブレア政権にいた当時、院内幹事だったコービン氏が党議に反して投票した際、院内幹事ポストから解任するよう党内から「圧力」がかかったものの、ブレア氏はそれを認めなかったとツイッターで書き、自分が除名されたのは「我々の時代とは対照的だ」と述べた。

他のベテランも他党に投票

キャンベル氏の除名を受け、ブレア政権の内相だったチャールズ・クラーク元下院議員と、ブラウン政権(労働党)の国防相だったボブ・エインズワース元下院議員は、自分たちも欧州議会選では労働党以外に投票したと明らかにした。

クラーク氏は、「ブレグジットに対する今の労働党、とりわけジェレミー・コービンの姿勢が、あまりにどうしようもなくバラバラなので」自由民主党に入れたと話した。

エインズワース氏は、「先日の地方選では労働党に入れたばかりだが、欧州議会選では緑の党に入れた。これまで一度たりとも労働党以外に入れたことなどなかったが」とBBCに話した。

「このことを公表するつもりはなかったが、自分と同じことをしてアラスターが除名された今、自分が何をしたか言うべきだと思った」とエインズワース氏は説明した。

複数の労働党議員はツイッターで、キャンベル氏の除名を批判。ジェス・フィリップス下院議員は、「私を殺すと脅した党員や、ホロコーストを否定した党員より、(キャンベル氏は)あっという間に除名された」、「問題の2人はまだ謹慎処分を受けているだけなのに」と書いた。

与党・保守党では今月半ば、サッチャー政権とメイジャー政権の閣僚を歴任した党の重鎮でEU支持派のマイケル・ヘッセルタイン卿が、欧州議会選で自由民主党に投票するつもりだと発言したのを受けて、貴族院での党内幹事の役職を一時的に解任された。これは事実上の除名処分に相当する。

(英語記事 I'm not a Lib Dem, says Alastair Campbell after Labour expulsion / European elections 2019: Brexit Party dominates as Tories and Labour suffer