2019年05月31日 12:08 公開

ハンガリーの首都ブダペストを流れるドナウ川で遊覧船が転覆し、韓国人観光客ら7人が死亡した事故で、同国の警察当局は30日、遊覧船に衝突した大型クルーズ船の船長を逮捕したと発表した。行方不明者は21人に増えた。

警察によると、逮捕されたのはウクライナ国籍の船長ユーリイ・C容疑者(64)。水上交通において危険な行為をした疑いがかけられている。

事故は29日午後9時ごろ、ドナウ川のマルギット(マーガレット)橋付近で発生した。近くに設置されたカメラの映像では、遊覧船「Hableany(人魚)号」が、背後から大型クルーズ船ヴァイキング・シギュン号に追突されたもようだ。当時、大雨の影響で水かさが増していたとされる。

遊覧船は、追突されてから7秒後に沈んだとされる。

事故当時、遊覧船には韓国人観光客30人とガイド3人、ハンガリー人乗組員2人の計35人が乗っていた。

韓国の通信社・聯合ニュースによると、観光客の大半は40代とみられるが、6歳の子どもと70代の男性も含まれていたという。

警察によると、死亡が確認された7人は全員、救命胴衣を着けていなかった。うち3人は、船が衝突した地点から数キロ下流で発見されたという。


救助活動では、7人が救助された。救急当局によると、全員、低体温症だが体調は安定しているという。

救助された女性(31)は聯合ニュースに、「流れがとても速くて、みんな流されていった」と話した。別の女性(32)は「船はすぐにひっくり返った」と述べた。

現場ではダイバーが出動して行方不明者21人の救助作業を続けているが、生存の可能性は小さくなっている。水温は摂氏10~12度ほどだという。

遊覧船は2階構造で、1949年に当時のソビエト連邦で製造された。衝突現場のマーガレット橋付近の川底で船体の破片が発見され、当局が引き揚げの準備を進めている。

追突した大型クルーズ船の乗客・乗員には、けがなどはなかった。

乗船していた米国人男性は、「あっという間の出来事だった」、「最初は衝突を避けられえると思っていたが、私たちが乗っていた船が小型船の後部に当たった(中略)すると小型船の船体の前側が盛り上がり、ほんの数秒後に沈んだ」と振り返った。

別の米国人の男性(66)はAFP通信の取材に、「人々が川の中から助けを求めて叫んでいるのを見た」、「衝撃は感じなかった。(衝突に)気づかなかった。人々が川にいるのを見ただけだ。ひどい出来事だった」と話した。

韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と救助隊、遊覧船の乗客たちの家族は30日、現地に向け出発した。

これに先立ち、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「ハンガリー政府と協力して、事故の原因について徹底した調査」をすると表明した。

韓国では2014年、韓国南西部・珍島(チンド)沖で旅客船セウォル号が沈没し、乗っていた修学旅行の生徒たち304人が死亡する痛ましい事故が起きている。今回の事故は、同国でその記憶を呼び覚ますものとなっている。

BBCニュースのニック・ソープ記者によると、ブダペストを訪れる観光客の増加を受け、ドナウ川の遊覧船の行き来も増えているという。一部では、操縦が難しく、衝突の際の衝撃が大きい大型船が多過ぎるとして、今回のような事故の発生を危ぐする声も出ていたという。

(英語記事 Captain of boat involved in Danube crash arrested