平本淳也(元ジャニーズ所属タレント、作家)

 ジャニーズのアイドルグループKAT-TUN(カトゥーン)の元メンバー、田口淳之介が大麻取締法違反容疑で逮捕、起訴された。例によってマスコミは大騒ぎをしているが、芸能人の薬物問題など今さら珍しくもないだろう。

 少々目を引いたのは「元KAT-TUNの田口淳之介」というマスコミの表記だ。逮捕のニュースが流れた当初は「アイドルグループの元メンバー」だったが、各社が突如として「KAT-TUN」を使った報道に変えた。ジャニーズへの配慮もあって「元KAT-TUN」は使いづらいのが本音だが、田口と言われてピンとくる人はファンぐらいだけに、使わざるを得なかったのだろう。

 もう一つ気になるのは、大麻取締法違反容疑による元メンバーの逮捕は、田中聖(後に不起訴処分)に続いて2人目という点だ。さらに、この2人以外にも、女優の黒木メイサと結婚したことで知られる赤西仁も脱退している。もちろん赤西については事件などの不祥事はない。

 このように、結成時に6人だったKAT-TUNは、すでにメンバーの半分が脱退しているのだ。それでも解散や活動休止に至っていないのがKAT-TUNたるゆえんでもある。

 そもそもKAT-TUNは、堂本光一(KinKi Kids)のバックダンサーとして結成され、グループ名は、脱退した3人を含む、現メンバーの亀梨和也、上田竜也、中丸雄一計6人の頭文字を並べたものだ。

 ジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川氏は2001年の結成当時、このKAT-TUNに大きな期待を抱いていた。ジャニー氏の先見通り、06年の正式デビュー前からドーム公演を満員にする偉業を達成したほか、楽曲のシングル27曲がすべて1位を記録。これはKinKi Kidsの記録に次ぐ歴代2位で、ジャニーズのアイドルグループの中でも、かなりの実力だと言える。

 それだけに「KAT-TUNによるKAT-TUNのためのKAT-TUNのレーベル」として「J-One Records」(デビュー当時)を設置するなど、これは嵐以来の待遇だ。また、ソロ活動も豊富なグループとしても知られており、亀梨、赤西、上田はソロコンサートも開催するなど、これも嵐に似たマネジメント手法だった。

 こうした輝かしい実績とは裏腹に、元メンバーが2人も薬物事件で逮捕されるといった黒歴史を刻んできたのもKAT-TUNなのだ。ただ、これだけ負のイメージがつきまといながらも、グループが存続している理由は、繰り返しになるが、ジャニーズのアイドルグループの中でも稀有な実力を持ち、根強い人気を誇っているからだ。
逮捕された元KAT-TUNメンバーの田口淳之介容疑者=2019年5月、東京都千代田区(納冨康撮影)
逮捕された元KAT-TUNメンバーの田口淳之介容疑者=2019年5月、東京都千代田区(納冨康撮影)
 では、なぜKAT-TUNは稀有な実力を持ち合わせていると言えるのか。その一方で、KAT-TUNならではの黒歴史はどのように刻まれてきたのか。脱退したメンバーも含めて軌跡を追ってみよう。

 そもそも、現メンバーである亀梨は、ジャニーズ所属タレントの人気投票で2連覇している。端正な顔立ちやスタイルはもちろん、ステージパフォーマンスの技術、さらに出演番組での扱いなどから、幅広い年齢層に圧倒的な支持を受けている。スポーツ(特に野球)番組での丁寧でストイックさもさながら、脱退騒動が相次ぐKAT-TUNを最後まで守ろうとする姿勢も人気を支える要因と言えるだろう。

 一方、現メンバーながら、KAT-TUNの活動以外の舞台でも高い評価を得ているのが上田だ。他のメンバーがいろんな意味で「濃い」だけに、一般的には印象が薄いキャラだが、作詞や作曲も手がけるアーティストで、ソロコンサートで5万人を動員する実力派でもある。ビジュアル系のようなスタイルが「やや難」だが、現メンバーの中丸と並ぶ年長者で、意外にもシッカリ者として知られ、KAT-TUNを引っ張ってきた。