2019年06月07日 13:16 公開

世界保健機関(WHO)は6日、世界で毎日約100万人が新たに性感染症(STIs)に感染していると発表した。性器クラミジア感染症、淋病、トリコモナス症、梅毒の4種類の感染件数は年間3億7600万を超えるという。

WHOは、STIsのまん延阻止において進展がみられないと強調したうえで、この統計は「警鐘」だと述べた。

専門家は、特に薬剤耐性を持ったSTIsについて懸念している。

世界の25人に1人は感染

WHOは、過去に発表された研究結果や、世界中の国々に駐在するWHO職員から報告書を収集。上記の一般的な4種類のSTIsが世界に及ぼす影響を定期的に評価している。

2012年に発表された前回の分析結果と比較すると、新たな感染率と、既存の感染率において「実質的な減少はみられない」という。

また、世界の25人に1人が上記4種類のSTIsのうちの1つに感染しており、中には、同時に複数に感染している人もいるという。

この統計では、2016年に15~49歳を対象に調査した。主な結果は以下の通り。

  • 1億5600万人が新たにトリコモナス症に感染
  • 1億2700万人が新たに性器クラミジア感染症に感染
  • 8700万人が新たに淋病に感染
  • 630万人が新たに梅毒に感染

トリコモナス症は、性行為によってトリコモナス原虫に感染して発症する。性器クラミジア感染症はクラミジア・トラコマティスという細菌に、梅毒は梅毒トレポネーマという細菌に、淋病は淋菌という細菌にそれぞれ感染して発症する。

感染の阻止で進展みられず

感染すると、膿がおりものとして出るほか、排尿痛や月経以外の出血などの症状が現れる。しかし、多くの場合で自覚症状はほとんどない。

性器クラミジア感染症や淋病では、骨盤内炎症性疾患(PID)や不妊症など、女性に深刻な合併症を引き起こす場合がある。一方、梅毒は心疾患や神経障害につながる可能性がある。

妊娠中の女性が感染した場合、死産や早産、低体重児出産のほか、肺炎や失明、先天性奇形などの乳児の健康障害につながりかねない。

WHOのピーター・サラマ博士は、「世界的なSTIsのまん延阻止において進展がみられない」と述べた。

「これは、すべての人が、どこにいても、これらの感染症の予防や治療にとって必要なサービスを受けられるようにするための、一致協力を促す警鐘だ」

具体的には、コンドームを使用した安全な性行為や、より手軽に感染症検査が受けられるような環境づくりが必要だとしている。

「危機拡大の前触れ」

細菌が原因のSTIsは、一般的に広く使用されている薬で治すことができる。しかし、梅毒の治療に必要な特定のペニシリンは不足しているほか、淋病では薬剤耐性化が進むなど、治療が難しいものもある。

医学研究支援などを目的とするイギリスの財団「ウェルカム・トラスト」で薬剤耐性感染症に関するプログラムを率いるティム・ジンクス博士は、「治療不可能な淋病は、危機拡大の前触れだ。一般的な感染症の治療がどんどん困難になってきている」と指摘する。

「我々は早急に、これらの感染症の拡大を抑え、新しい抗生物質と治療法に投資し、もはや効果のない既存の治療と置き換える必要がある」

(英語記事 One million new STIs every day, says WHO