消費増税を進める財務省も必死である。先ごろ福岡で開催されたG20の財務相・中央銀行総裁会議でも、国際社会が消費税引き上げに理解を示したと、麻生太郎財務相を使って懸命な「広報活動」を行っていた。

 だが、共同声明を読み解けば、麻生氏や日本銀行の黒田東彦総裁が口にしているような、今年後半からの経済状況の持ち直しよりも、下方リスクが強調されているのが実情だ。各国の財務相や中央銀行総裁は、内心では日本の緊縮スタンスに冷めた見方をしているだけだろう。

 産経新聞の報道で以前、「消費税率がこんなに低いのは、国民を甘やかすことになる。経済が厳しくても10%に上げるべきだ」という財務省の上層部の「本音」が紹介されていた。おそらく、これは事実だろう。

 だが、財務省はこの1年ほどの間に、事務次官のセクハラ疑惑による退任、部局あげての公文書改竄(かいざん)で世間の批判を浴びた。もし「国民を甘やかす」という思い上がったエリート意識に変化がないようなら、まさに国民が財務省を甘やかしたつけでもあるだろう。

 そういえば最近、財務省への大学生の人気が低下しているという。実際に財務省で働く人たちにも素晴らしい人はいるだろう。だが、組織として見れば、こんな組織で働くことは恥ずかしいレベルであることが、国民にも少しずつ理解されてきたのではないか。

 消費増税をめぐっては、反緊縮路線に立つ識者の動きも急である。連載で明らかにしているように、筆者の立場は明確に消費増税反対である。

 だが、反緊縮路線の中でも、議論の混乱には寄与しても、あまり建設的なものとはいえない動きもある。かえって欠点を突くことで、財務省が反緊縮政策叩きに利用している理論がある。
2019年1月、米下院を訪れたアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(UPI=共同)
2019年1月、米下院を訪れたアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(UPI=共同)
 それは、欧米を中心に人気の高い現代貨幣理論(MMT)を巡るものだ。これは米国の人気若手政治家、民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員が賛同したことで、知名度を飛躍的に上げた。日本でも、MMTの注目度は高い。