2019年06月11日 12:21 公開

イギリスでは10日、与党・保守党の党首選の立候補が締め切られ、10人の議員が正式に出馬を表明した。

党首選は、テリーザ・メイ首相が7日に保守党党首を退任したことに伴うもの。保守党は今後、議員による投票で立候補者を2人まで絞った後、全国の保守党員による決選投票を行う。

次期党首は自動的にイギリスの首相となる。メイ首相は後任が決まるまで首相にとどまる。

立候補者は以下の10人。

  • マイケル・ゴーヴ環境相
  • マット・ハンコック保健相
  • マーク・ハーパー前下院院内幹事長
  • ジェレミー・ハント外相
  • サジド・ジャヴィド内相
  • ボリス・ジョンソン前外相
  • アンドレア・レッドソム前下院院内総務
  • エスター・マクヴェイ前雇用・年金相
  • ドミニク・ラーブ前EU離脱相
  • ローリー・スチュワート国際開発相

ハント外相やラーブ前EU離脱相、ゴーヴ環境相は立候補の締め切り前から選挙活動を始めていたが、いずれも正式に出馬が認められている。

一方、サム・ジーマー前閣外相は支持を固めるには時間が足りなかったとして、出馬を取り消した。

ジーマー氏は出馬に意欲を示していた議員の中では唯一、欧州連合(EU)離脱問題で2度目の投票を支持していた。

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党首選では通常、2人の推薦人がいれば出馬できるが、保守党は6月初め、手続きを加速させるために出馬には6人の支持者が必要というルールを追加した。

さらに、13日に行われる最初の議員投票では最低16人、18日の2度目の投票では最低32人の支持者を得なければ次の投票に進めないというルールも追加された。

議員投票は13日、18日、19日、20日に行われ、候補者は最終的に2人に絞られる。

その後、22日からイギリス全土の保守党党員約16万人による郵便投票が行われ、4週間後の7月22日の週にイギリスの新首相が発表される予定だ。

ゴーヴ環境相はジョンソン氏を批判

ゴーヴ環境相は演説で、「国家サイバークライム対策チーム」の設置や法的手段による抗議から軍を守る施策など、首相として進めていきたい政策を次々と明らかにした。

また、国民保健サービス(NHS)への予算充当を確約したほか、ブレグジット(イギリスのEU離脱)については「実現できると思えるほどブレグジットへの信頼が集まっていなかった」と述べた上で、自分は「真っ当な計画」を持っていると示唆した。

一方、ジョンソン前外相が年収5万ポンド(約700万円)以上の人の所得税を減らす公約を掲げたことについて、「税制や福祉のシステムを使ってすでに裕福な人に減税措置を施すことなど、私が首相になったら絶対にやらない」と批判した。

ジョンソン氏はまだ自身の選挙活動について、TVインタビューを受けていない。

ハンコック氏とハント氏には強力な後押し

ハンコック保健相は、メイ首相の右腕とされたデイヴィッド・リディングトン内閣府担当相の支持を取り付けた。リディングトン氏はBBCのローラ・クンスバーグ政治編集長に、ハンコック氏は明確な未来のビジョンを持っていると話した。

ハンコック氏は、全国生活賃金を1時間当たり10ポンド(約1380円)以上にする公約を明らかにしている。

一方、ハント外相にはペニー・モーダント国防相とアンバー・ラッド雇用・年金相が支持を表明している。

ハント氏は、ブレグジットの膠着(こうちゃく)状態を脱するには「とても賢明な」アプローチが必要だと話し、「空論」ではなく「経験豊富で真面目な首相」が必要とされていると述べた。

ハント氏をめぐっては、人工妊娠中絶が可能な時期を24週から12週に短縮すべきだという「個人的な意見」が批判されたが、これについてハント氏は、首相になっても中絶期限短縮の法改正を行うつもりはないとしている。

その他の立候補者の動向は以下の通り。

  • ラーブ前EU離脱相はブレグジットの実現をあらためて約束したほか、国際野生動物基金の設立に向けて5億ポンドの予算を確保すると明らかにした
  • マクヴェイ前雇用・年金相はシンクタンク主催のイベントで、合意なしブレグジットを「恐れる必要はない」と述べ、EU離脱を支持する姿勢を強調。また、公務員の賃上げを約束した
  • スチュワート国際開発相は、メイ首相がEUとまとめた離脱協定を通過させるため、議会に「最後のチャンス」を与えると話した。一方、2度目の国民投票は「何も解決しない」と一蹴している
  • ジャヴィド内相はスコットランド保守党のルース・デイヴィッドソン党首に加え、キャロリン・ノークス移民担当閣外相など2人の閣僚から支持を得た
  • ハーパー前下院院内幹事長レッドソム前下院院内総務も、間もなく選挙活動を始める予定。レッドソム氏はEU離脱について、たとえ合意なしだったとしても「管理された離脱」の方法を模索していくと語った

<分析>多くの候補者、異なるアピール ――ベン・ライトBBC政治担当編集委員

保守党議員は次の党首に何を求めているのだろう?

総選挙に勝利し、自分たちの議席を守ってくれる人だ、もちろん。それからブレグジットについて有望な案を持っている人物。むっつり意気消沈した保守党を生き返らせてくれる人物。

議会で輝く人物が求められているなら、ゴーヴ環境相が快勝するだろう。しかしゴーヴ氏は前回の党首選でジョンソン前外相の出馬を阻止したし、最近では20年前のコカイン使用を認めて謝罪しており、その評判は傷ついている。

そのジョンソン氏は保守党内で対立しがちで、私生活もずっとごたごたしている。しかしそれでも、ジョンソン氏はイギリスで最も認知度が高く、カリスマ性あふれる政治家の1人だ。

ハント外相は明確な意見を持ち、管理職らしい言動だ。元弁護士のラーブ前EU離脱相は物事を一刀両断するような熱意を持っているし、ジャヴィド氏は保守党の頂点まで上り詰めた人物だ。

マクヴェイ前雇用・年金相はテレビのキャスターとしてキャリアを積んだ。レッドソム前下院院内総務にとっては2度目の党首選だ。スチュアート国際開発相はソーシャルメディアを使ったキャンペーンで、保守党外から注目と称賛を集めている。

しかしこの党首選の行方は、あくまで保守党議員と保守党員が決めるものだ。


(英語記事 Final 10 named for Tory leadership race