2019年06月12日 11:52 公開

犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める香港の条例改正案をめぐり、反対派の市民ら数千人が12日、立法会(議会)周辺で抗議デモを繰り広げた。警官隊はデモ参加者たちにゴム弾を発射し、催涙ガスを使用した。

この日、議会で予定されていた改正案の審議は延期された。

学生など若者を中心としたデモ参加者たちは、議会周辺の主要道路をバリケードで封鎖。警官隊に向け、れんがなどを投げつけた。

一部は議会の建物の中に押し入ろうとし、警官隊が催涙スプレーや警棒を使って押し戻した。

議会の建物内にいたBBCのガブリエル・ゲートハウス記者は、警官1人がけがをして運ばれたと報じた。建物の扉は南京錠で施錠されているという。


警察は「実力行使」を警告

抗議は11日まで平和に行われていたが、議会審議の行われた12日に一部の参加者の行動がエスカレートした。

警察当局はツイッターで、「この行動は平和的な集会の範囲を超えている」と抗議デモを非難。「直ちに立ち去るよう求める。さもなければ、適切な実力行使をする」と警告した。

地元紙は、香港政府幹部がデモ参加者たちに、早急に道路封鎖をやめ、解散するよう要求したと報じた。

黒いマスクと手袋をしたデモ参加者のひとりは、「改正案を取り下げるまで」この場から帰らないと、AFP通信に話した。

政党・香港民族党は、改正案が撤回されない限り、議会で「無期限に」居座ると表明した。

中国政府寄りとみられる議会は、この日に予定されていた審議を延期し、「のちほど」開くとした。ただ、日時は指定していない。これまで、6月20日に改正案の採決を行うとしている。

全域でストや休業

12日には多数の労働者たちのストライキが予定されていた。

民主化を求める団体が、フェイスブックで香港全域における休業を呼びかけた。出版社など100社以上の企業が、従業員の抗議デモ参加のためとして、同日を休みとすることを表明している。

HSBCなど金融機関にも、12日は勤務時間をゆるやかにするところが多い。学校の教員約4000人はストライキを予定している。

香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は9日の大規模デモを受け、「学校、親、公的機関、企業、労働組合が今回の過激な行動を推進しているとしたら、真剣な再考を求める」とコメントしている。

中国の司法制度に懸念

「逃亡犯条例」の改正案は、中国本土や台湾、マカオで起きた殺人や強姦などの凶悪事件の容疑者を、香港から現地の捜査当局に引き渡し、そこで裁判を受けることを可能にする。

反対派からは、中国の司法制度における拷問や場当たり的な拘束、自白の強要などを心配する声が上がっている。

9日には、香港が中国に返還されて以降で最大規模の、数十万人が参加した抗議デモが開かれた。一方、キャリー・ラム行政長官は10日、改正案を取り下げる考えはないと表明している。

(英語記事 Police and protesters clash in Hong Kong