山岸純(弁護士)

 今年の2月頃、あるコンビニオーナーが独自の判断で24時間営業をやめ深夜に閉店したところ、本部から多額の違約金や契約の強制解除を要求されたといったニュースが話題になりました。

 このニュースがきっかけとなったのかもしれませんが、最近、コンビニ業界に対し公正取引委員会が調査を開始するというウワサがまことしやかに流れています。

 もとより公正取引委員会は、毎年さまざまな業界をターゲットに、その所管する法律である独占禁止法に違反する事案について調査を行っているのですが、この「独占禁止法」という法律、なかなか理解が難しい法律であるため、公正取引委員会が果たして何をやろうとしているのかについてもなかなか理解されません。

 そこで、まず「例え」を使って、公正取引委員会が独占禁止法のもとで何をやっているのかを説明します。

 例えば「日本がオリンピックで金メダルを獲得する方法」を考えてみましょう。2020年には日本で2回目となる夏季オリンピックが開催されますが、開催国としてはどうしても金メダルが欲しいところです。

 そこで組織委員会は、
①ある競技のある種目に出る選手を、全員日本人にすること
②選手全員が打ち合わせをして、同時にゴールすること
③日本の経済力を背景に他の国の選手にお金を渡して手加減させたり、脅迫して辞退させること
を考えました。

 上記三つの「金メダルを獲得する方法」はどう考えても卑怯(ひきょう)、不正、不公平な方法であり、オリンピック憲章に反するトンデモ作戦と言わざるを得ません。そのトンデモナイ方法を経済活動において禁止されるべき行動にあてはめると、それぞれ①私的独占、②価格協定(カルテル)、③不公正な取引ということになります。これらを禁止するのが公正取引委員会が運用する独占禁止法というわけです。

 今回、もし、公正取引委員会が24時間営業などについて調査するのであれば、上記③について、すなわち、コンビニオーナーと本部の間に「不公正な取引」関係が存在するのかどうかを中心に行うことになるでしょう。
会見する公正取引委員会の山田昭典事務総長= 2019年 4月 17日 、東京都千代田区(大柳聡庸撮影)
会見する公正取引委員会の山田昭典事務総長= 2019年 4月 17日 、東京都千代田区(大柳聡庸撮影)
 特に、コンビニオーナーと本部との間には、コンビニの売り上げ管理や商品管理、ロイヤルティー、ブランド維持、営業時間、キャンペーンなど、ありとあらゆる項目についてガチガチに定められたフランチャイズ契約があり、コンビニオーナーをぎしぎしと縛っているといわれていることから、相当厳しく調査されることでしょう。