平野和之(経済評論家)

 コンビニ業界といえば、成長産業の主戦場としてバブル崩壊後の内需、小売業を突っ走ってきた。今や全国におよそ5万5千店舗、10兆円産業に成長し、スーパー並みの巨大マーケットになった。

 そのコンビニがメディアに「フランチャイズ(FC)地獄」とたたかれたのは、今から20年前。既に「失われた20年」以前から、フランチャイズはもうからないオーナーが多いと指摘されていた。ただ、当時はそれ以上のマイナス要素が表面化せず、コンビニはそのまま急成長を遂げたのである。

 だが、コンビニのオーナーを続け、思うようにもうかっているという話を私は聞いたことがない。中には、自殺した人もいた。

 そもそも通常の小売店は、スクラップアンドビルドで、もうからない店はたたむのが常套だ。「優秀な人材をもうかる店に」のサイクルが基本だが、一度拡大路線が始まると、止まると死んでしまう回遊魚に例え「カツオのえら呼吸」と揶揄される状態になってしまう。

 小売店は、大半が借金をして出店するだけに、成長が止まってしまうと自転車操業化が免れない。そして、競争激化などで経営が苦しくなると、スクラップする店の方が増える。過去の負債の返済が逆スパイラルへと回転し、破滅へのカウントダウンとなってしまう。

 FCの場合、しくじったら基本はFCオーナーの責任であり、このスクラップのリスクを最小化できるのがFC業界の最大の強みでもある。今から20年ほど前は、FCも売上計画書などを提示し、開業させていたが、判例上は売上が計画通りいかない責任は本部にあるというケースが目立っていた。

 そういうこともあってか、今のコンビニは売上の最低保証を1千万円単位で実施している。FCビジネスの中でも、売上保証をしているコンビニはある意味、優れたFCの部類ではある。通常のFCビジネスでは売上が保証されているケースの方が少ないからだ。あるいは、売上を保証されても、その保証先が倒産すれば保証自体が無意味だ。広義のFCといえるアパート35年一括借上保証の「レオパレス」や「かぼちゃの馬車」のような保証元の破たんリスクや保証減額リスクも低い。
ローソンの店舗(ゲッティイメージズ)
ローソンの店舗(ゲッティイメージズ)
 ただ、開業時に、現在の人件費高騰リスクや人材不足リスク、仕入上昇リスクを予測してFCを始めた人は皆無である。コンビニでは、契約の更新があり、その際にいろいろな要望を出されるが、本部が「嫌なら辞めてくれ」と言える関係もあり、制度的には本部側に有利なことだらけだった。

 とはいえ、FCビジネスは経営が簡単でブランド力を有効に活用できる。脱サラ、サイドビジネス向きなどいろいろな方法で拡大を続けてきた。ただ、小売業である以上、仕入や人件費のやりくりといった経営センスが問われる。脱サラして、その退職金で小売業に参戦しても、そう簡単にうまくいくものでもない。