そもそも、赤字店舗での優越的地位の乱用を規制する法律案が検討されているが、これは問題解決にはつながらない。優越的地位の乱用は多々あるが、小売業界でいえば、いまだに小売店は仕入れ先から営業スタッフの応援を無償で出させることなどが常態化しているケースも散見される。優越的地位の乱用がなくならないのは、密告した側にとって、仕入先から報復攻撃を受ける可能性がある限り、乱用を訴える動機が抑制されるからである。

 そこで、私が考える優越的地位の乱用を防ぐ法律は「FCビジネス規制法」である。前提として、FC本部と加盟店は、経営者と労働者ではない。また、この優越的地位の乱用が恒常的に行える親会社と下請けの関係に根強く残る格差の本質がある。農協もしかりで、かつて私は著書で世界最大のFCビジネスだと皮肉ったが、農林水産業の生産者も優越的地位の乱用によって、所得が著しく制限されているといえる。

 代理店ビジネスなども同様だ。これらをすべてFCと定義し直し、商売においての交渉優位性の強い側の論理をどう規制するかということを、この際しっかり議論すべき時に来ていると思われる。もちろん、自由競争で社会主義を持ち込むのかという課題もあるが、FCは、疑似労働者の富が搾取される産業であることは社会一般的に見て明白である。

 FCは売上保証の限りにおいて、これで最低限の生活を営める所得ではない。FCをやる場合の、出店リスクや在庫リスク、人件費リスクを折半するなどしっかり規定を作れば、適当にFC加盟店を増やして地獄に陥ったオーナーを放置する本部をなくすこともできるし、破産するオーナーを防ぐこともできる。

 ただ、過剰な規制はマイナスにもなる。前述したレオパレスやかぼちゃの馬車などの問題を受けて、銀行のローン審査が厳格になりすぎて借りたい人がローンを組めないなどの弊害も起きている。

 また、FCビジネスを始める際、銀行もローンを安易に組ませるケースが見受けられる。これを厳格にすると銀行の貸し先が減少するリスクがあるが、トータルで規制論を議論すべきだろう。優越的地位の乱用、働き方改革の視点だけでコンビニ24時間営業のピンポイントの規制論を考えるのでなく、代理店、FCビジネス、大企業対中小企業の契約における格差是正にも寄与するような幅広い法規制の議論をすることが重要だろう。
人手不足などを背景に、24時間営業の見直しに向けた取り組みが始まっている=2019年3月、東京都足立区のセブン―イレブン本木店(川口良介撮影)
人手不足などを背景に、24時間営業の見直しに向けた取り組みが始まっている=2019年3月、東京都足立区のセブン―イレブン本木店(川口良介撮影)
 すでにコンビニを取り巻く環境は、ほかの流通業同様、安泰ではなくなった。今後は、国の規制の度合いによっては、負け組業種になるリスクをはらんでいる。

 FCビジネスという観点と流通業の中のコンビニ経営という観点の二つで将来を考えなければならない難しい業界となってしまった。

 かつて私が『コンビニがなくなる日』を執筆した際には、コンビニがコンビニ(便利)でなくなる日の意味合いを書いたのだが、そもそもコンビニは街のホットスポット。行政サービスの窓口として、地域のコミュニティの中核となるだろうと思っていたが、今は本当に、コンビニがなくなっていく日が現実味を帯びる時代になっている。

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