清水英斗(サッカーライター)

 サッカーの南米選手権(コパ・アメリカ)に挑む日本代表は、東京五輪世代の18人をベースに、海外の所属クラブから承諾を得た中島翔哉(アルドハイル)、柴崎岳(ヘタフェ)らのA代表、いわばオーバーエージを数人加えた23人で編成されている。

 Jリーグはシーズン中で、さらに欧州クラブも派遣義務のない大会への招集を渋るケースが多いため、今回のA代表は特殊な構成となった。チーム編成のコンセプトは、来年の東京五輪さながらであり、強化スケジュールを組みづらい五輪代表に実戦を積ませる上では、絶好のシミュレーションになる。

 しかし、相手は南米のA代表だ。U-22(22歳以下)を中心とした若い日本代表が、コパ・アメリカという世界最高峰の舞台で力を出し切ることができるのか。

 仮に、日本がFW大迫勇也(ブレーメン)やDF吉田麻也(サウサンプトン)といったフルメンバーを集めたとしても、それでも分が悪い相手ばかりだ。さらに南米選手特有の激しいチャージや、審判の目を盗む行動など、海千山千の猛者が織り成す未経験のサッカーに、若いA代表が面食う可能性もある。もっとも、今回のコパ・アメリカはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されるため、抑止力はありそうだ。

 それ以外にも、状態の悪いピッチを意に介さないダイナミックな技術、殺気すらほとばしるプレッシングなど、南米のA代表には度肝を抜かれるパフォーマンスが多々ある。その勢いや雰囲気に若い選手が飲み込まれてしまっては、東京五輪のシミュレーションとしても消化不良になりかねない。

 そんな不安を抱きつつ、日本の招集リストを眺めると、FW岡崎慎司(レスター)、GK川島永嗣(ストラスブール)の名前が飛び込んでくる。昨夏のロシアワールドカップ(W杯)以来、A代表から遠ざかり、今季はクラブでも出場機会が少ない2人だが…。
ロシアW杯、エカテリンブルクの宿舎に到着した(左から)GK川島、岡崎、乾=2018年6月(共同)
ロシアW杯、エカテリンブルクの宿舎に到着した(左から)GK川島、岡崎、乾=2018年6月(共同)
 しかし、コパ・アメリカのメンバーに彼らの名を発見した瞬間、2002年のFW中山雅史(当時磐田)とDF秋田豊(当時鹿島)の偉大なる「父性」を思い出したのは、おそらく筆者だけではないはずだ。

 あれは2002年、日韓W杯直前の出来事だった。長らくA代表から遠ざかっていた中山と秋田が、トルシエジャパンの最終メンバーにサプライズで名を連ねた。