2019年06月14日 12:21 公開

偽動画を放置して批判を浴びている米フェイスブックは、同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が秘密組織への感謝を述べて話題になっている、「ディープフェイク」と呼ばれる高度な偽動画も削除しないと表明した。

ディープフェイクは、特定の人の画像を人口知能(AI)を使って加工し、まるでその人が動いたり話したりしているような偽動画を作り出す技術を指す。

「かなり本物っぽい」

ザッカーバーグ氏のディープフェイク動画は、インスタグラムに8日にアップロードされた。「大量の個人データを手に入れた者が未来も手に入れると『スペクター』に教えてもらった」などと話している。長さ16秒で自動的に繰り返される。

すぐには話題とならなかったが、アメリカのウェブサイト・マザーボードが11日に記事を掲載し、一気に注目された。同記事は、「音を消したらかなり本物っぽい」としている。

動画は14日までに7万5000回以上再生され、コピーもフェイスブックでシェアされている。

インスタグラムの親会社でもあるフェイスブックの広報担当は、「このコンテンツも、インスタグラム上のすべての偽情報と同じように扱う」と宣言した。


「意味ある規制は歓迎」

このディープフェイク動画はもともと、英シェフィールドで開かれた「スペクター」という芸術イベントの作品として製作された。ソーシャルメディアで人々がどのように見られ、操作され得るかを示すのが狙いだという。

コンピューターで作ったザッカーバーグ氏の顔と、2017年に米シリコンバレーのフェイスブック本社で撮影された、演説中の同氏の体を結合。それに俳優の声を組み合わせて完成させた。

製作に関わった芸術家たちは、フェイスブックの方針を「歓迎」すると述べると同時に、同社の倫理観に疑問を投げかける。

「私たちの作品をフェイスブックに検閲されたくはない。しかし、デジタルの世界で影響力のある業界の、意味のある規制と監督は歓迎する」

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偽動画の削除を拒否

もしフェイスブックがザッカーバーグ氏の動画をブロックしていたら、偽善者との非難が集中したかもしれない。つい3週間前に、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)の偽動画の削除を拒否したからだ。

ペロシ氏の動画はディープフェイクではなかった。しかし、ところどころ再生速度が落とされ、演説するペロシのろれつがまわっていない印象を与える。

フェイスブックは、投稿される情報は「本当」である必要はないと説明。一方で、フェイスブック利用者のニュースフィードに現れる回数を制限し、ファクトチェックのサイトへのリンクを沿えると述べた。

ペロシ氏は、「彼らは偽だとわかっているものを掲載している」として、フェイスブックを批判。「私は大丈夫……でも(フェイスブックは)社会にうそをついている」とコメントした。

米紙ワシントン・ポストによると、ザッカーバーグ氏はペロシ氏と話し合おうと個人的に連絡したが、ペロシ氏から返事をもらえなかったという。

(英語記事 Facebook lets deepfake Zuckerberg remain