2019年06月17日 13:10 公開

イギリスの保守党党首選は16日、第1回投票を勝ち抜いた立候補者6人のうち5人がテレビ討論を行い、欧州連合(EU)離脱について議論を交わした。

英民放チャンネル4が主催したこの討論会には、ジェレミー・ハント外相、マイケル・ゴーヴ環境相、ローリー・スチュワート国際開発相、ドミニク・ラーブ前EU離脱相、サジド・ジャヴィド内相が登壇した。一方、第1回投票で圧倒的票差で1位となったボリス・ジョンソン前外相は出席せず、批判を浴びている。

保守党は今後、議員投票で立候補者を2人まで絞った後、全国の保守党員による決選投票を行う。新党首は7月22日の週に決まる予定だ。

次期党首は自動的にイギリスの首相となる。メイ首相は後任が決まるまで首相にとどまる。

イギリスは3月29日にEUを離脱する予定だったが、イギリス下院がテリーザ・メイ首相がEUと取りまとめたブレグジット(イギリスのEU離脱)協定を承認しなかったため、10月31日に延期されていてる。

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討論では、EUとの合意がなくても10月31日にブレグジットを実現するため、議会を停会にすべきかどうかについて激しい議論が飛び交った。

この案には5人中4人が反対しており、スチュワート国際開発相は議会の停会は「非常に不安な」選択肢だと述べたほか、ジャヴィド内相も「民主主義を捨てては民主主義を実現できない」と警告した。

一方、ラーブ前EU離脱相はこの案を除外しないと発言。「候補者の誰かが選択肢を除外するたびに(中略)一番良い条件で離脱する機会が失われている」と述べた。

合意なしブレグジットの是非

候補者は合意なしブレグジットの是非についても議論を交わした。

ジャヴィド氏は、合意なしは自分にとって「最後の手段」だとした一方で、「協定に基づいた離脱のためには合意なしブレグジットにも正確な計画が必要だ」と語った。

ラーブ氏は、合意なしでEUを離脱してもイギリスは「それに伴うリスクに対応できるはずだ」と話した。

これに対しスチュワート氏は「合意なしブレグジットは全くのナンセンスだと思う」と断じ、「イギリス経済に深刻なダメージを与えるだろう」と述べた。

一方、ハント外相が最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首について「大志に背いている」と批判すると、候補者らは全員賛同した。

ゴーヴ環境相は、首相質疑でコービン氏が一番相対したくないのは自分だろうと話した。

「ボリスはどこだ?」

討論参加者はまた、今回のテレビ討論に参加しなかったジョンソン氏を相次いで批判した。

ハント氏は「ボリスはどこだ?」と問いただした後、「そこそこ友好的な同僚5人相手の話し合いにも出られないというなら、いったいどうやってEU27カ国と交渉するつもりか」と厳しく皮肉った。

スチュワート氏は、今回の討論に参加した「5人のうちの誰かが」次期首相になることが望ましいと話した。

これに対しジョンソン氏は、参加者の多い討論は「いささか、やかましいものなりかねない」と、欠席理由を弁明した。

また、この日に出演したBBCのラジオ番組で、自分が討論による追及を避けているという批判に「非常に困惑している」と話し、国民は「正直言ってこの3年間、保守党対保守党のやりとりをもうたっぷり見てきたはずだ」と述べた。

その上でジョンソン氏は、討論に適切なのは第2回投票が終わった18日だという考えを示している。

ジョンソン氏をめぐっては、第1回投票を通過したものの党首選辞退を表明したマット・ハンコック保健相が支持を表明している。

ブレグジット後の政策

ブレグジット以外の政策についてジャヴィド氏は、教育への予算を拡大し、高等教育機関を増やすと説明。「これまではこの領域での削減が多すぎた」と指摘した。

ラーブ氏は公立校の改善と職業訓練生の機会創出を、ゴーヴ氏は環境対策をそれぞれ優先事項に挙げた。

ハント氏は観覧席に「すべての保守党員には2つの欲望がある。減税と公的事業への投資だ」と語りかけた上で、識字率の向上や社会福祉システムにも注力していくと語った。

スチュワート氏は自分にとっての最優先事項に、成人社会福祉を挙げ、この問題は「終わっていない大革命」だと話した。


<分析>テレビ討論、勝ったのは誰? ――ベン・ライト、BBC政治担当編集委員

今回のテレビ討論では目立った勝者はおらず、欠席したジョンソン氏の第1回投票第1位の地位を脅かすような議論もなかった。

ジョンソン陣営は、保守党内での小競り合いに参加しても得るものはないと判断した。討論は良い雰囲気で進められたが、候補者が答えるのに苦労する質問が繰り返し出されていた。

次期首相はどのようにEUと再交渉を進める? どうやって10月までに交渉を終わらせる? 議会が離脱協定を拒否した場合、合意なしブレグジットになった場合はどうする?

討論の最後にラーブ氏は、合意なしが10月末にEUを離脱する唯一の道ならば、議会を停会することも考えていると語った。

その対極で、向こう4カ月でEUと再交渉できるというのは、まやかしの約束だと明言したのはスチュワート氏だけだった。

ジョンソン氏が最後の2候補に残ることは確実だ。今回の討論に参加した5人のうちの1人が、ジョンソン氏と保守党員による最終投票を戦うことになる。


(英語記事 Tory leader hopefuls clash over Brexit