北朝鮮では、習氏と金氏が対米関係に加え、中朝関係をさらに進めていくことを確認し合うと見られる。中朝両国の関係は、冷戦の終了後、複雑な経緯があっただけに、二国間で話し合うべきことは少なくない。

 北朝鮮の経済発展のために中国はどのような協力をできるかがその一つである。金氏は北朝鮮の経済を発展させようと国内各地で叱咤激励しており、訪中するたびに中国の経済改革関連施設を見学している。

 中国共産党と朝鮮労働党の関係強化も重要な課題である。今回の習氏の訪朝発表は、中国側では共産党中央対外連絡部が行った。

 日本にとって、習氏の北朝鮮訪問は第三国間の問題ではあるが、決して関係がないわけではない。冷戦終結とともに、朝鮮半島問題における南北両陣営の関係が複雑になったが、北朝鮮は中国、ロシア両国との関係を改善し、北側の陣営は再度強化されつつある。北側陣営の再強化は、すなわち冷戦状態に戻る危険性を秘めており、日本にとっても大きな問題である。

 中国とロシアは西側諸国に対抗する勢力の「核」になっている。冒頭で述べたSCOはその表れである。

2018年9月の東方経済フォーラムで握手する安倍首相(左)と中国の習近平国家主席
2018年9月の東方経済フォーラムで
握手する安倍首相(左)と中国の習近平国家主席
 これら諸国は概して西側諸国と価値を共有せず、国連でも保守的なスタンスで動くことが多い。北側陣営強化の背景にはこのような事情もある。

 一方、北朝鮮と米国は「恒久的平和」の確立と「新しい米朝関係」の樹立を目指すことに昨年行われたシンガポールの首脳会談で合意した。これが進めば、南北対立はさらに緩和される可能性もある。

 米朝関係の進展により、南北両陣営の対立が緩和されるか。それとも、中朝関係の緊密化によって、南北対立が激化するか。現在の朝鮮半島においては、二つの可能性が併存していると見るべきであろう。