2019年06月21日 12:32 公開

ロシア当局は20日、極東で生け捕りにされ、小さないけすで飼育されていた100頭近くのシャチとシロイルカの解放を開始した。全頭を解放するには4カ月ほどかかるという。

「イルカ監獄」として国際的な批判を浴びていたこのいけすは日本海にあり、11頭のシャチと87頭のシロイルカが飼育されていた。

海洋学者や、米俳優レオナルド・ディカプリオさんなどから解放を求める声が上がっていた。第1段階では8頭が自由になったという。

ロシアのアレクセイ・ゴルデエフ副首相は、「専門家の推薦により、捕獲された自然環境に解放することを決めた」と説明した。

ウラジーミル・プーチン大統領も今回の決定を称賛しており、毎年恒例のテレビでの質疑応答で、「私の知る限りではシャチ1頭が1億ドル(約100億円)ほどの価値がある。大きなお金が絡むと必ず物事の解決が難しくなる。事態が進展して良かった」と話した。

数百万ドルで取引

シャチとシロイルカは昨年オホーツク海で捕獲され、1300キロ南下した極東ナホトカ近くのいけすで飼育されていた。

ロシアでは研究目的でクジラやイルカを捕獲することが認められているが、専門家からは、これらの動物が中国のテーマパークや水族館へ売られるのではとの懸念が示されていた。

シャチは1頭数百万ドル、シロイルカも1頭数万ドルで取引されている。多くは違法に捕獲されている。


環境保護団体グリーンピース・ロシアは昨年10月にこのいけすのイルカについて警告を発した。多くが健康を損ねており、少なくとも4頭が死んだとみている。

野生のイルカは毎日何十キロも泳ぐことで体温を維持しているため、捕らえられたイルカの中には低体温症を発症している個体もいるという。

今年1月には、皮ふ病やヒレに傷を負ったイルカがいるとの報告もあった。一部のけがは、いけすの周りの流氷にぶつかってできたものとみられている。

著名人も抗議に参加

イルカ監獄の実態が明らかになると、世界中の科学者や政治家、活動家から批判が寄せられた。

米俳優のディカプリオさんはソーシャルメディアで署名活動への参加を呼びかけ、これまでに150万筆以上が集まった。

国際動物福祉基金(IFAW)で活動する元モデルのパメラ・アンダーソンさんも、イルカを解放するようプーチン大統領に手紙を書いた。


このイルカを捕獲したロシアの企業は、今年6月に入って罰金を科されている。うち1社は2810万ルーブル(約4800万円)の罰金を支払った。

クジラの保護を訴える「ホエール・サンクチュアリ・プロジェクト」のチャールズ・ヴィニック会長は、解放作業は「できる限り人道的に」行われるべきだと話した。

ヴィニック氏はBBCの取材で、「私たちは推奨する作業方法をいくつも当局に伝えた。全てに沿うことはできなくても、できる限り守ってほしいと思う」と述べた。

「これは動物の福祉にかかわることだ」

(英語記事 Russia to release whales from 'jail' in far east