森伸恵(弁護士)

 吉本興業がお笑いコンビ、雨上がり決死隊の宮迫博之さんら11人を当面の間謹慎処分にしたと発表しました。今月4日にはお笑いコンビ、カラテカの入江慎也さんの契約が解消されて話題になりましたが、今回の発表で芸能界にそれ以上の衝撃が走りました。

 謹慎処分の理由は、5年ほど前、振り込め詐欺(最近は特殊詐欺と呼ぶことも多い)などを行う反社会的勢力グループの忘年会に参加し、吉本興業を通さずに金銭を授受していた、つまり「闇営業」をしていたことのようです。

 吉本興業は「反社会的勢力主催の会合であるとの認識はなく、また、報じられていたような金額ではありませんでしたが、会合への参加により一定の金銭を受領していたことが認められました」と説明しています。今回の件で話題になっている「闇営業」と「反社とのつながり」の実態について、芸能界の問題に携わってきた経験から述べたいと思います。

 闇営業とは、芸能プロダクションに所属しているタレントが、プロダクションを通さず営業(芸能)活動を行い、独自に報酬を得ることをいいます。この闇営業は、タレントがプロダクションに負っている専属義務に違反しています。

 通常、芸能プロダクションとタレントの間では専属マネジメント契約が結ばれています。この専属マネジメント契約はなぜ必要なのでしょうか。
お笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也さん=2012年2月28日、大阪市浪速区の大阪府立体育会館(寺口純平撮影)
お笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也さん=2012年2月28日、大阪市浪速区の大阪府立体育会館(寺口純平撮影)
 それは投資回収のためです。芸能プロダクションは、所属するタレントに投資をし、芸能活動の場を提供します。そしてタレントが芸能活動から得た報酬を芸能プロダクションがいったん回収し、その報酬をプロダクションの売り上げ、タレントへの報酬、他のタレントへの投資、スタッフの人件費などへ分散するというビジネスモデルで運営が成り立っています。

 専属マネジメント契約書は、芸能プロダクションとタレントの間の①お金関係を明確にする②権利関係を明確にする③タレントを当該プロダクションに縛る(他のプロダクションに移籍させない)、という役割を持っています。