確かに、留学生を大量に受け入れることにより、教育収入は増える。しかも、東京福祉大のケースでは、正規留学生ではなく非正規となる研究生なので、国が交付する補助金には影響がない。とはいえ、大量に受け入れたことによって教育収入増に成功したわけである。

 さらに、東京福祉大は研究生受け入れにあたって「中国籍か否か」によって学費の差をつけた。国籍によって学費に差をつけるのは人種差別以外の何物でもない。

 日本は1918年、第1次世界大戦後のパリ講和会議において、世界で初めて人種差別撤廃を提案した。その国の大学が、中国籍を持つ留学生に人種差別的な学費格差を設けるのは国辱もの、とすら思える。
 
 話を大学経営に戻そう。ところで、東京福祉大以外でも、留学生の大量受け入れによって経営改善を図った大学が過去にもある。

 ここで想起されるのが、定員割れを起こす大学が増加した、という報道だ。これに学生の学力低下を報じるニュースなども合わせると、分かりやすい構図ができる。

「大学は定員割れ大学が増えている」→「学力が不足している学生も受け入れるほどだ」→「留学生を不正に大量に受け入れてもいる」→「いずれ、経営難の大学がさらに増え、潰れていく」→「不正犯罪の温床にもなりかねない」→「ダメな大学はどんどん潰して行くべきだ」


 実に分かりやすい構図だ。

 2012年には大学が増えすぎ、との認識もあって、当時の田中真紀子文科相が「量より質が重要」(2012年11月3日産経新聞朝刊)として新設3校を認めない、と発言し大騒動となった(その後撤回し、3校は予定通り開校した)。
2012年11月、3大学の新設不認可問題について会見する田中真紀子文科相(野村成次撮影)
2012年11月、3大学の新設不認可問題について会見する田中真紀子文科相(野村成次撮影)
 この騒動を受けて、産経新聞がオピニオン面で「大学は多すぎるか」をテーマにしたところ、「大学は多すぎると思うか」は92%、「定員割れ大学の淘汰を進めるべきか」は89%、「大学新設に歯止めをかけるべきか」は74%がそれぞれYESと回答した(2013年1月4日)。

 この印象は7年たった現在もほぼ同じであろう。だからこそ、東京福祉大の事件発覚後に、分かりやすい構図をもって論じる人が出てくるのだ。