いずれにしても、極端にひどい定員割れ状態の大学は減少傾向にあり、東京福祉大の事件をもって、大学経営の是非を論じるのは牽強付会もいいところ、と考える。

 大学の是非を論じるのであれば、むしろ危険性が高いのは専門学校の方だと、私は指摘したい。4月25日に文科省は「私立専門学校における留学生の受入れ状況の把握に関する都道府県の取組についての調査結果とそれを踏まえた一層の取組について」を公表した。

 この調査によると、私立の専門学校2610校中、留学生を受け入れている専門学校は871校ある。そのうち、「留学生が半数を占める」195校、「90%以上を占める」101校、「全生徒が留学生」でも45校と衝撃的な数字が並んだ。

 専門学校は大学や短大と違い、経営状態の公表義務がない。それだけにブラックボックスの部分が多くある。

 定員割れ大学について、留学生不正受け入れの温床、と非難するのであればいかがであろうか。大学以上に専門学校についても、厳しく見るべきであろう。

 2018年、政府は外国人労働者の受け入れ拡大を方針として決定した。事実上の「移民政策の転換(緩和)」と見ている。

 いくら、「移民政策を厳しくしろ」と言ったところでどうだろうか。現実は、東京や大阪などの大都市部だけでなく、地方でもコンビニや居酒屋、ファミリーレストランなどでは、外国人店員がいないと成立しない業態ばかりだ。

2019年6月、「適正校」の認定を取り消された名古屋市中区にある東京福祉大の系列専門学校
2019年6月、「適正校」の認定を
取り消された名古屋市中区にある
東京福祉大の系列専門学校
 もちろん、急速な移民の受け入れ拡大は、米国や欧州諸国のように国家の分断を招きかねない。しかし、少子化が進み、労働力人口自体が減少している以上、移民政策の転換(政府が言うところの、外国人労働者の受け入れ拡大)は必須である。

 今後も何段階かに分けて、移民政策は進めていく必要があるだろう。その際に改善すべきは、東京福祉大が今回悪用した研究生(非正規留学生)の制度だけではない。大学や短大だけでなく、専門学校も含め、留学生の制度もさらに改善する必要がある。具体的には、就労目的の留学生であっても、学業と就労が並立できるようにすること、日本語教育とその認定を厳格化すること、違反した大学や短大、専門学校への罰則を強化することなどだ。

 現状のままでは、学校が「不法就労の温床」という状態が続くだけだ。この曖昧な状態を悪用する海外の不法就労斡旋業者や一部の学校経営者にとっては好都合だろうが、日本全体としては、未来を損なうだけに過ぎない。

 東京福祉大の事件を機に、外国人労働者の受け入れ拡大策と合わせて、留学生制度のさらなる改善を国と文科省には求めたい。