石橋通宏(参議院議員)

 3月7日の参議院予算委員会で、大学などの教育機関における偽装留学生問題を取り上げたところ、内外から想像以上の大きな反響があった。特に、質問を終えたとき、与党・自民党席から大きな拍手喝采を受けたのは、野党議員である私にとって初めての体験であった。

 その後続けて、文教科学委員会や予算委員会において「東京福祉大学」の問題に焦点を当ててこの問題を追及。厚生労働委員会でも、留学生の就労問題に焦点を当てた追及を行っている。結果、メディアでもこの問題が大きく取り上げられ、国民の関心を喚起するきっかけになったことはうれしく思っているし、所管官庁である文部科学省および法務省から、この偽装留学生問題の実態調査と具体的対策に向けた検討を速やかに行っていくという答弁を得たことも、大きな収穫であった。

 ただ大事なのは、政府や世間が、この問題を単に一教育機関における特異な問題として捉えるのではなく、過去10年以上にわたって政府の肝いりで展開されてきた留学生拡大施策の構造的問題として捉えて、その実態に踏み込んだ検証と改革ができるか否かである。その問題意識を踏まえ、以下、そもそも私がこの問題を委員会で取り上げるに至った経緯と、その裏側にある構造的な問題について詳述してみたい。

 私が偽装留学生問題に注目し始めたのは、遅くとも5年くらい前のことである。当時、特に外国人技能実習生の人権侵害などの問題がクローズアップされていて、私も技能実習制度に代わる新しい就労制度の構築について議論をスタートしていた頃であった。そのときすでに、留学生制度が本来の学業目的ではなく、就業目的で使われているのではないかという疑念が私たちの中でも認知されていたのである。

 しかし、その頃、政府が「外国人技能実習法案」の検討に着手したこともあって、留学生に関わる問題は後回しになっていた。その後、2016年に「外国人技能実習法」が成立し(17年11月施行)、甚だ不十分ながらも技能実習制度の規制、監視強化が図られたことで、より規制の緩い留学生制度に悪徳ブローカーの魔の手が向かうのではないかという危惧が生まれ、そのときから改めて留学生問題にも目を向け始めた。
参院予算委で質問する石橋通宏参議院議員=共同
参院予算委で質問する石橋通宏参議院議員
 そして昨年、安倍総理の鶴の一声で「人手不足の解消」策として外国人労働者の受け入れ拡大が政治課題となり、入管法改正案が具体的な中身のないままに秋の臨時国会に提出され、ごく短時間の審議で成立(今年4月1日から施行)したことは皆さんもご承知の通りである。実は、この一連の政府の動きを受け、私たちも具体的な対案づくりに着手し、①多文化共生社会基本法の制定②外国人一般労働者のための新しい雇用制度の創出③外国人技能実習制度の段階的な移行・廃止などに加え④留学生制度(留学ビザ)の抜本的見直しによる規制強化、を掲げて関係者や有識者らからのヒアリングや情報収集を続けていた。こうした中で、突然浮上してきたのが、東京福祉大問題だったのである。