実は昨年の段階から、いくつかの大学や専門学校、日本語教育機関が留学生制度を悪用している実態があるとの情報をつかんでいた。しかし、それらはあくまで外部情報であり、具体的な物証は得られなかった。そんな時に、あるルートを通じて、東京福祉大で信じられないような偽装留学生の実態があるという情報が私の元にもたらされた。

 しかし、最初に話を聞いたときは、正直、にわかには信じられなかった。この3年間で、多くの留学生が「除籍」扱いになっており、そのほとんどが所在不明だというのだが、その数が1千人以上に上るという話だったからだ。しかも、それが大学の創設者である前理事長によって、学生数減少を補う「金もうけ」のために意図して行われていることだというのだから、慎重にならざるを得なかったのである。

 ところが、実際に東京福祉大の関係者に話を聞く機会を得、証拠となる資料なども見せてもらったところ、それが事実であることが確認できたのである。内部資料には、過去3年間、月ごとに退学ないしは除籍となった留学生のリストと、その理由が明記されていたが、ほとんどが「所在不明による」と記されていたからだ。

 現場で懸命に頑張っておられる東京福祉大の教職員や関係者の名誉のためにあえて申し上げておくが、東京福祉大もかつては福祉分野において実績のある、評判のよい大学で、就職率も良かったし志願者も多かった。いまなお、学生たちのために本来あるべき教育を提供しようと頑張っている方々がおられる。だからこそ、今のような状況を続けさせてはいけないと、その実態を告発するに至ったわけだ。

 結局、東京福祉大においては、ある時期から志願者が減りはじめ、定員の維持が難しくなった。実は、先に述べた前理事長は、2008年に刑事事件による罪で懲役2年の実刑判決を受けている。以降、大学経営には関わらないという約束を文科省に対してもさせられたが、いまだに大学運営の実権を握っているとされている。その前理事長が起こした事件が学生数の減少にどれだけ影響があったのか、直接の因果関係は分からない。ただ、学生数が減少し、経営に影響が出るようになった頃から、前理事長らが外国人留学生に目を付け始めたようである。
東京福祉大学正門(寺井融撮影)
東京福祉大学正門(寺井融撮影)
 2011年頃、東京福祉大内部の運営会議で、前理事長が留学生をうまく使うことで「120億の金が入るわけだよ…何でそれをやらんの」などと発言していたことが報道されている。私もその議事録を読んだが、衝撃的なやり取りが行われていて、そして確かにその後から、東京福祉大における留学生が急増していったのだ。