最初の予算委員会の質問で、2017年の1年間だけで、留学生の不法在留者、いわゆるオーバーステイが新たに発生した全国の教育機関が570機関、1852人に上っていたことや、全国の教育機関から法務省に報告があっただけで、退学、除籍、失踪者などの数字が、なんと5千人に近くに上っていたことを指摘して、政府の姿勢を追及した。

 これらの数字は、今回新たに法務省と文科省へ提供を求め、明らかになった数字なのだが、当初、両省ともなかなか数字を出してこなかったことも記しておきたい。

 2017年だけでこれだけ多くの不法在留や除籍者が出ていたのに、なぜ両省はその問題を放置していたのだろうか? 実は、昨年6月の段階で、東京福祉大の有志教職員が文部科学省に告発に行っている。しかし、文科省は「門前払い」を食らわせたのだそうだ(※文科省はそうではないと否定しているが)。

 恐らく、この種の内部情報の提供は、東京福祉大からだけではなかったはずで、そのことは両省の関係者も暗に認めている。つまり、偽装留学生の問題は、以前から各種データや情報提供などで明らかになっていたにもかかわらず、法務省も文科省もなんら具体的な対応を行ってこなかった、というのが実態なのだ。

 ではなぜ、両省とも迅速に動かなかったのだろうか?

 皆さんも、「留学生30万人計画」はご存じだろう。2008年に、当時の福田康夫総理が所信表明演説で「留学生30万人計画」をぶち上げたところから、国策として留学生の受け入れ拡大が始まった。余談だが、実はその前年、07年に発足した第1次安倍政権時の「骨太の方針」において、すでに留学生の受け入れ拡大が政策の一つに掲げられていた。この点は、そもそも何の目的で留学生30万人計画が始められたのかを考える上で、重要なポイントの一つだと思う。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
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 当然だが、日本でレベルの高い教育を受けたいと願う外国人留学生が増えて、それが日本人学生にもよい影響を及ぼして教育の質が高まり、次代を担う人材の育成につながるのであれば私も大いに歓迎する。留学生30万人計画も、少なくとも当初はそのような崇高な目標の下に始められたと信じたいし、よもや、最初から労働力確保策の一環として捉えていたとは思いたくないが、結果としてそうなってしまったのは動かしがたい事実だ。